「WORLD KYOTO」と同じビルに入る中本氏プロデュースの「SURFDISCO」。いずれもインバウンドによる外国人観光客の来店も多く、その多くがSNSなどの口コミから訪れるという
中本 幸一 氏 Kouichi Nakamoto
NAKAMOTO KOUICHI
RANGE CO LTD. 代表取締役
WORLD KYOTO(FOUNDER) PLUSTOKYO(PRODUCER)
1976年3月生まれ。香川県坂出市出身大学卒業後、99年大阪「CLUB JOULE」にてナイトマーケット業界でのキャリアをスタートさせる。2000年に飲食店経営企業に転職し本部企画室配属となり店舗運営のノウハウを学び、社内独立という形で01年7月“ 京都盆地をより暑く” をテーマに『京都WORLD』をオープン。地方の常識を覆すDJ企画や独特の内装、また“京都ブランド”の強みも追い風となり関西を代表するトップクラブへと成長させる。その功績から銀座 「PLUSTOKYO」に立ち上げからプロデューサーとして参画。店舗企画デザインに携わり、欧米の社交文化と日本文化をカルチャーミックスさせた今までにないギャザリングスペースとも言うべきスタイルの店舗を18年11月、オープンさせた。令和のナイトマーケットカルチャーをけん引するプロデューサーとして大きく期待される一人である。
■IR 時代を迎える日本にどのような見解を持たれていますか?
IRの法整備がなされたことはナイトエコノミーやマーケットにとって風営法の改正に並ぶ大きな法整備であり、ビッグチャンスだと考えています。そのチャンスをどのように生かしていくか?
それが店作りに携わるわれわれが取り組むべき課題であり、醍醐味でもあると考えています。もちろん決して簡単なことではありませんが、ラスベガスやマカオなどの事例を見ても確実にライフスタイルやナイトライフに大きな変化を与えられるチャンスであることは確かだと思うので、クラブや夜遊びといった枠を超えたエンターテインメントを作りたいですし、そういったものが生まれる期待と私自身も体験したいという好奇心があります。
その中で最も課題なのは“いかにして日本に来る理由を作るか?”という点ではないでしょうか? 既存の事例を見てきて思うのはソフトもハードも日本独特の和文化の要素があることは必要ですが、古典的過ぎたり、和文化そのものというのはエンターテインメントの面では違うのではないかということです。例えばタランティーノ監督は西麻布の「権八」をモデルに“キルビル”の舞台を作っていますが、日本人が思う日本の切り口と外国人が思うそれにはイメージや期待値に乖離があると思います。ですから双方の切り口の共通部分をいかにコンセプトとして落とし込み、具現化するか? ということが大事ですし、IR という集合体も加えた上での共通部分に何をどういった感性で見出すか? といった視点も大事だと考えています。
その上で日本が世界で最も勝負でき得る切り口というのはサービスだと考えています。ですからカルチャー面でのソフトは“日本らしさ”というテイストをハイブリッドに、リミットをかけず感性やセンスで遊ぶような、さらには新たなミックスカルチャーが生まれるような、そんなコンセプトを作り、サービス面では常にお客さまの期待の先をいくような、日本人の持つ細やかさや気配り、心配りが際立つクオリティーの高いサービスを組み込んでいく店づくりや場づくりができるといいのではないかと考えています。またそれらを常に進化させていければ、“日本に行く理由”も自ずと強化され、エンターテインメント分野でも観光立国として成長していけるのではないかと期待しています。