下さいからくださいへ
私は著書に「少々お待ち下さい」は、実にいい加減で上から目線の命令形であることに気付こうと書きました。なぜならば「少々」とはハッキリと数字で時間を言い表すことができない曖昧言葉であるために、ホテル側にとっては平気で何分でも待たせられるような、とても都合の良い言葉だということに気付いたからと、もう一つは「下さい」は上から目線の命令形で威圧的な言葉とも知らずに、長年大切なお客さまに浴びせかけてきたことにも気付いたからでした。以来定番だったコンビニや観光地のトイレの張り紙一つとっても、「次の人のために綺麗に使って下さい」という命令形から、「次の人のために綺麗に使っていただいてありがとうございます」という柔らかい表示方法に変わりましたが、それに引き換えホテルはどうでしょう。もちろんホテルによっては多少の誤差はあるにしても、「キーはフロントにお預け下さい」、「○○の際はスタッフにお声掛け下さい」、「お風呂のドアは閉めてご使用下さい」、「アンケートにご記入下さい」と明らかに命令形のままである。しかも「下さい」は漢字で書くとお客さまを「下」に見下す言葉になるので、最低でも「ください」とひらがなに直すか「~をお願いします」に変えられてはいかがでしょう。
第8回
次世代リーダーたちに贈るメンタルケア術これからの人材育成 鈴木 忠美
第 75 回「固定観念からの脱却」を
【月刊HOTERES 2015年08月号】
2015年07月29日(水)