2023年のIR始動に向け各方面、具体的な動きが始まっている。
エンターテインメント業界においてもその動向は顕著であり、既に事業展開をスタートさせている企業も多い。そこで弊誌ではこの4月より「日本版IR」で連載していた“Integrated Resort in Entertainment!”を、HOTERES的解釈を加え、新たに考察・紹介していく予定だ。そこで始動第一弾の今回はIR市場がエンターテインメント業界にどのようにアプローチし、つきあっていくかについて現状レポートと共に考察してみたい。
水面下での接触は既に始まっている
筆者が「日本版IR」の連載を通し、この1 年IR 市場に求められるエンターテインメント事業についてエンタメ業界のプロフェッショナルたち(※図①参照。詳細については「日本版IR」バックナンバーをご高覧ください)から教授を受けてきた中で痛感していることがある。
それはオペレーティング企業をはじめとした施設運営企業の水面下での活動に意外なほど格差ができていることだ。具体的なロケーションが決まらない現時点において始動に足踏みしてしまう企業があることは致し方ない。
一方で、“候補地としての可能性”をジャッジポイントに数年前からその対象地域に対して勉強会を開くなど積極的に活動している企業もある。
恐らくではあるが本年後半から2020 年前半には具体的なIR 上陸地が決まり始めるだろう。
その際にそれまでのアプローチの違いが大きな切り札となることは疑う余地がない。
そこでぜひIR 施設の運営およびオペレーション参入を考えている企業には早急に各所への働きかけを始めてもらいたい。
中でも具体的な動きを進めやすいのがエンターテインメント業界とのチャンネル構築だ。
常々記してきているが、IR 市場成功の大きな鍵がエンターテインメントコンテンツにあることは世界市場を見ても自明の理である。
ちなみに、ここで言うエンターテインメントに携わる人はアーティスト、DJ などの演者はもちろんのこと、演出家やプランナー、オーガナイザー、キャスティングディレクターといったコンテンツを作り上げる骨子をプロデュースする上で必要な人材も含まれる。
特に海外からのショーやアーティストの招聘に明るい人材は各ジャンルにおいて確保しておきたい。
さらにグローバルスタンダードにかなう舞台設営や音響・照明技術を持った企業とのチャンネルや、宣伝、PR、告知メソッドといった認知・集客にかかわるプロフェッショナルの確保も必要となるだろう。
これらが施設運営におけるスポンサードの獲得においても大きな力となることは明白であり、今まで以上に世界の富裕層を魅了することが必要とされるIR 施設、日本観光の吸引力強化に世界で勝負のできるエンターテインメントコンテンツを保有することが必要不可欠であるということに今一度、向き合われたいと思う。