▪「負け犬」
まずは(図①参照)【左下】「負け犬」です。「負け犬」は利益もほかに比べて利益額も少なく、あまり出数もない商品です。この「負け犬」に対するアクションは「廃止」です。この商品をメニューから外すことがアクションになります。この商品をなくすことで売れない商品の在庫を維持することもロストにつながるリスクもなくなります。月に数個しか売れない商品をずっとメニューに置いておく必要はありません。正確には「廃止」だけではなく、新規メニュー「投入」というアクションもついてきます。メニューから一つなくなり新しい商品を投入することでメニュー全体が活性化されることにもなりますし、お客さまからの視点でも、いつも見過ごしていた商品がなくなり、新たな商品が増え、目新しささえも感じます。また、負け犬に分類された商品でも維持していかなければならない単品のライスやパン、スープなどもあります。そういった商品はME 分析の対象から外すのも一つの方法です。
▪「芸人」
次に(図①参照)【右下】「芸人」です。「芸人」は出数も多く、人気商品ですが、その商品一つからの粗利貢献が低く頑張って作る割にはもうからない商品ということになります。こ
の「芸人」商品に対する利益貢献度を高めるアクションは三つあります。一つはレシピの見直し(原価の見直し)です。使用している原価を下げることはできないか? また、お客さまが同じ満足度を得ながら、原価額の下がる食材に変えることはできないか?また、いつも量が多いというものであればポーション(量・大きさ)を下げることで原価を下げることも可能です。このようなアクションを行なうことで一つの粗利額も高まり、出数が維持できればその商品は「スター」に近づきレストランへの利益貢献度も上がるということになります。
もう一つのアクションは価格を上げるというアクションです。「芸人」は価格がほかよりも安くお得感があり出数が多いというのが典型的です。価格を上げることで原価額は同じで粗利額がそのまま増えるということになります。これによってレストランへの利益貢献につながります。この値上げアクションは一番簡単ですが、出数に大きく影響が出るリスクがあります。特にランチ商品などは少しでも価格を上げると「値上げした」印象がつきやすく上げ幅を慎重に決める必要があります。しっかりとその地域のマーケットを意識して決定する必要があります。
また、この二つのアクションを一緒に行なうのも三つ目の方法です。価格を上げながらレシピ内容を見直すということです。そうすることでそれほど大きく価格を上げる必要がなくなり、また原価額を下げる必要もなくなります。より効率的にインパクトが出やすくなります。また、価格が上がった分のいくらかの分を原価に還元し、お客さまの満足度を上げるという方法でもあります。ただし、お客さまにはその旨をしっかりとアピールする必要があります。このアクションをする中で全体的に内容が変わることがあればその商品の名前を変えてしまうのも一つの方法です。お客さまから目新しくしっかりと内容をアピールすることでスター商品にしていくことにもつながります。
▪「金のなる木」
次は(図①参照)【左上】「金のなる木」です。「金のなる木」にカテゴリーされる商品は粗利額が大きく利益貢献度が高いものの、出数が低く利益への貢献度が低いというカテゴリーです。このカテゴリーの「スター」に近づけるアクションは二つあります。
一つ目が出数を増やすというアクションです。まずその商品がなぜ売れないのか? を考えなければなりません。また、メニューの中でもなかなかインパクトなくてほかの商品に目が行っているのか? 時にはその商品名に魅力がなくなかなかオーダーされないというケースもあります。その理由によってアクションは異なりますが、第一にしっかりとお客さまにアピールするということになります。お客さまにその商品をお勧めの一つにすることが出数が伸びるきっかけにもなります。また、あまり魅力のない商品名の場合はもっと魅力的な商品名に変えることも出数に影響することがあります。せっかく利益貢献度の高い商品ですからこれが売れることで大きくレストランへの利益貢献することにつながります。しっかりと売れる施策を立てるべきです。
もう一つのアクションは値下げです。先ほどの売れない理由の中にはその商品がほかの商品と比べて比較的高いケースがあります。この場合は価格を下げるということも一つの手法です。しかし、そこで注意しなければならないのは価格の下げ幅です。価格を下げて人気は出たが粗利額が下がり利益貢献度が下がればこの商品は「スター」に近づかず、「芸人」に近づいてしまいます。商品一つの粗利がほかのスター程度に近づける程度の価格設定が「コツ」になります。どこまで価格を下げたらどのくらいの出数が増えるかをしっかりと見極める必要があるということです。利益額が下がった分を十分にカバーできるだけの出数が出なければそのアクションは意味がなくなります。
このようにカテゴリーそれぞれのアクションを行なうことでスター商品に近づけることを考える必要があります。しかし、すべてが「スター商品」になることはありません。そのメニューのバランスについては次回解説していきます。また、そのアクションのシミュレーションから検証までのプロセスについても説明します。