全国の独立系中小規模ホテルを中心に、ホテルの規模や業態にマッチしたコンサルティングを行なってきたマストインターナショナル㈱がホテルのオペレーションに役 立つF&B 部門の再生手法を説明していきます。今回からは数回に分けて利益の貢献を踏まえた分析手法を解説します。
経営学科講師、厚生労働省・ホテル産業職能評価制度審査員
独立系中小規模ホテル
F&B部門再生手法
マストインターナショナル㈱ 代表取締役
湯浅 太 氏
ホテル・旅館再生事業、事業評価、AM、CS調査、マネジメント研修、その他
ご意見・お問い合わせ:f.yuasa@mastinternational.co.jp
【プロフィール・略歴】1968 年神奈川県横浜市生まれ。アメリカペンシルバニア州立大学でホテル経営学部を学び、東京のシティホテルで現場を経験したのち、ベトナム、ミャンマーでホテル開発、運営に携わる。30 歳でHMI グループ、ホテルパールシティ神戸(380 室)の総支配人に就任。また北九州、京都の同ホテルの総支配人を兼任。33 歳でホテルチェーン運営会社の取締役に就任。全国規模であらゆるタイプのホテル、旅館の再生にかかわり数多くの実績を残す。その後ベンチャーホテル運営会社の取締役運営統括本部長(COO)に就任し6 施設の統括を行なう。また若い総支配人を育てるべくマネージメントスクールなどを行なう。2009 年9 月同社退任後、同年10 月にマストインターナショナル㈱の代表取締役に就任。大阪学院大学ホスピタリティ
▪ ME 分析
前回はABC 分析について説明しました。ABC 分析することには二つの目的があると解説しました。一つはABC 分析することによって、目標棚額の設定が容易になり、効率的なオペレーションが可能になります。また、二つ目は売上の貢献度を把握することができ、売れる商品はもっと売れるように施策を立て販売し、売れない商品は廃止し新しい商品を開発、投入することでメニューの活性化につながってきます。しかし、それはあくまでも売上ベースでの話であり、本来ホテルレストランにおいて大切なものは売上ではなく、利益です。今回から数回に分けてその利益の貢献を踏まえた分析手法を解説していきます。
「ME」とはMenu Engineering(メニューエンジニアリング) の略です。「ME 分析」を知っている、行なっているというホテルのレストランは外資系であれば常識的に行なっていますが、国内のホテルのほとんどは「知らない」「聞いたことがない」と言うホテルがほとんどです。独立系ホテルであればなおさらです。しかし、残念なことに、外食産業では進んでいて、常にこの分析を行ないどのように売れてもうかるかという商品作りを行っているのです。国内ホテルのレストランは常に売上ばかりを追っかけている傾向があるから、余計にこの利益追求は後回しになっているのも現状です。売上を追っかけるというよりも粗利を積み上げるといった考え方を持つことが成功のカギになることは間違いありません。