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新連載 ㈱龍名館  濱田裕章氏 小さな会社のブランド構築

新連載にあたり

【月刊HOTERES 2017年01月号】
2017年01月13日(金)
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㈱龍名館 取締役
濱田裕章氏

約100 年振りの新規出店
 
 弊社は東京・日本橋室町で江戸時代から営業していた旧名倉屋旅館の分店として、明治32 年(1899 年)に旅館として創業した企業です。118 年目の2016 年、日本経済新聞(8 月22 日付)にも掲載頂きましたが、この度弊社としては約100 年振りの新規ホテル立ち上げとして、2018 年秋冬に、新橋(東京)エリアに出店します。事業機会拡大を検討し始めてから数年がかりの結果であり、土地から購入した背景もあり、弊社にとっては、まさに社運をかけたビジネスとなります。そんな折、オータパブリケーションズ様からお声掛けいただき、僭越ながら、元旅館の企業が、100 年振りの新規事業として今後どのような取り組みを行っていくか、皆様にご紹介していく機会をいただきました。
 
明治32 年に始まる歴史
 
 弊社は創業当時、木造の総2 階建ての旅館でした。それから関東大震災や戦争などの日本・東京の歴史とともに歩みを進め、現在、ホテル事業は千代田区神田駿河台と中央区八重洲に「龍名館」の名で2 棟、レストラン事業は、ホテル内含めて3 つのレストランを経営・運営しています。100 年以上の歴史の中で、新規事業や撤退した事業もありましたが、18 年秋冬開業を目指している今回のホテル開発は、約100年振りの新規ホテルの立ち上げであり、弊社としてはさまざまな思いが込められています。
 
「100 年振り」ではあるものの、直近10 年間の間では2 棟のホテルの建替え・リノベーションを行いました。私自身は08年に弊社に入社し、東京駅前に位置するホテル龍名館東京(旧ホテル八重洲龍名館)、創業の地でもあるホテル龍名館お茶の水本店(旧旅館龍名館本店)の建替え、リノベーションにかかわってきました。大手チェーンの開発部隊のノウハウには及びませんが、弊社のこれまでの経験と反省を今回の新規ホテル開発に生かしていきたいと考えております。
 
小さな会社だからこそ
ブランド構築を目指して
 
 弊社はオーナー企業であり、ひとつの事業を長い目で育てていく姿勢があります。また小さいながらもこだわりがあり、高い品質がある商品価値を作っていきたいという思いが、ホテル龍名館お茶の水本店、ホテル龍名館東京を作ってきました。おかげさまで2 棟とも多くのお客様にご愛顧頂き、また多くの第三者評価を頂きました。宿泊目的以外でも多くの方々がお越しいただけます。
 
 現在のホテル業界は20 年前から施設数、客室数ともに毎年増加しており、「シティホテル」や「ビジネスホテル」といった単純なカテゴリに分けることも難しくなってくるほど多様化も進んでおります。今後はこういった選択の多様性化がさらに進んでいくと考えており、弊社では次の100 年の歴史を築いていくためにも、地に足のついたブランディングが大切であると考えています。特に今回の新規ホテルはこれまで以上にブランドについて意識を高くしており、社内外の強力なメンバーによって開業を目指しています。
 
 弊社では「こだわりのあるものを作っていきたい」という社風が根付いているということもありますが、小さい会社だからこそ、一つひとつ丁寧に作り上げ、その積み重ねをブランドとして築いていくことが重要だと感じています。オータパブリケーションズ様からお声掛けいただいた新規ホテルとしての取り組みはもちろん、その取り組みの背景や私たちの思い、また過去の建替えやリノベーションの様子も含めてご紹介していきたいと思います。
 
 わずかではありますが、弊社の経験と反省、そしてこれからの取り組みが、少しでも弊社同様、小さな規模の会社の方々やこれからホテル開発を予定されている企業の方々、古くから運営している旅館・ホテル事業を見直そうと考えられている方々の参考になれば幸いです。

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