日本各地がこれから観光による成長を目指す場合、当然国内の市場ばかりではなく、海外の市場を見据えなければならない。さらに言えば、東京を飛び越えて直接海外にアプローチを仕掛けるエリアが出てきてもいいはずだ。そして、その際に“食”というのは大きな武器になる。「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」は2015年9月に開業をした、奈良県が運営する「なら食と農の魅力創造国際大学校」(今年4 月開校)に併設されたオーベルジュで、ひらまつが管理者として運営をしている。ここでは9 室の客室とレストラン、宴会場を運営しており、なんと言っても最大のポイントは奈良県で採れた食材を使った奈良発のフランス料理を楽しめるということだ。大和野菜をはじめ地元で作られた新鮮な野菜、大和牛、大和鶏、そして海の幸は和歌山や伊勢湾から取り寄せたものもあり、奈良のテロワールをアピールすることが狙いだ。過去は県のアンテナショップなどを東京に置くだけで受け身、待ちの姿勢だったが、地元の食材を国内にとどまらず直接世界へ発信していこうという考えの表れであろう。
FROM THE PUBLISHER ——太田 進——
“食”を武器に世界へ売り込め
【月刊HOTERES 2016年06月号】
2016年07月22日(金)