株式会社森村設計 企画開発部 部長
杉野 勝明氏
建築設備の耐震はなぜ必要!?
災害の発生後、宿泊機能を持った建物であるホテル・旅館は、遠方から来て宿泊されている大切なお客さま、従業員を災害から守るだけでなく、帰宅困難者の受け入れ等の災害時の緊急事態における地域貢献への寄与も期待されます。災害時に構造的に安全な建物を作ることはもちろんのこと、その建物の機能の継続維持が迅速に可能な施設を作ることを考えなくなりません。特に建物インフラ設備である電気、給水、排水の確保、建物としての機能の安定性向上として空調・換気等の設備の機能回復が災害を受けた後にすぐできれば、事業継続維持が可能となります。図1 の「①電源の確保」、「②給排水の確保」、「③空調設備機能確保」の重要性について記載いたします。
耐震設計にはどんな基準がある?
現在は、日本建築センターより発行されている「建築設備耐震設計・施工指針2014 年版」に従って設計を行なっています。この指針は、平成23(2011)年東北地方太平洋沖地震の被害を踏まえ、耐震支持方法の考え方やアンカーボルト、設備用基礎の設計及び施工に関する指針が記載されていますが、今回の熊本地震の被害調査を踏まえてこの指針の見直しが行なわれると想定されます。