北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MAI( 米国不動産鑑定士 )
MRICS(英国王室認定チャータードサーベイヤーズ)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事
以前、ホテルのインスペクションが提供している機能をご紹介しました。それら機能については、おおむね以下が挙げられるものとして整理しました。⑴ホテル旅館が提供しているサービス内容およびサービスレベル等運営状況に関する正確な情報の提供(サービス力向上に貢献)、⑵個別ブランドスタンダードの順守チェック(個別のブランディングをサポート)、⑶顧客ニーズのフィードバック(マクロ的な情報のサポート)、⑷競合ホテルと比較し、どのような状況にあるのか、ベンチマーク情報の提供、⑸ハードウエアに関する情報提供(長期的かつ総合的な観点から顧客満足度に関する情報を提供すること)、⑹課題点がある場合の原因に関する仮設設定及び当該仮設に関する対策案の提案。
今回は、米国を拠点に、長年にわたりそれら機能を適切に提供しつつホテルサービスの質の向上に世界的に貢献し続けている「リッチーインターナショナル」社によるホテルインスペクション(ミステリーショッパー)をご紹介したいと思います(以前、弊社は同社と業務提携契約を締結していたものの、現在は契約を解消)。
同社のミステリーショッパーの究極の目的は、「調査対象とするホテルのサービス向上に貢献すること」として一貫しています。つまりホテルの「パートナー」としての視点を基礎としており、そのためにできるだけ⑴フェアでかつ⑵客観的な調査結果を提供しています。ミステリーショッパーを実際に担当するためには、同社より派遣された経験豊富なインスペクターとマンツーマンで4 日間に渡る研修を受けます(私の場合は、ドイツの4 スタークラスホテルで行ないました)。以下、当時の研修を通じて、同社が提供しているインスペクションサービスをご紹介したいと思います。