このシリーズでは、トラディショナルからトレンドまで、幅広い情報をお届けします。ホテル・レストランでのサービスやマナー、ウエディング・イベントパーティの創り方、ライフスタイルにおけるニューヨーカーの感性などさまざまな視点からの最新情報です。日本人の感性と世界をリードするニューヨーカーの感性とうまく融合することで、「ZEN OMOTENASHI」は世界中から称賛を得ることでしょう。
Wedding Bride Registry
招待客は、結婚前のカップルにプレゼントをします。
プレゼントされたいものをBride は、事前に選んでおくことができます。どのようにして選んで購入していると思いますか? 実に合理的でシステマテイック。マンハッタンのデパート、ブランドショップ、そして日常生活に必要なアイテム専門店をのぞいてみると、店内に機械が設置されています。その機械のことを「Wedding Bride Registry」といいます。
使い方と手順
① Bride はショップに行き、名前の入力後、ウエディングの登録をします。
②ショップアシスタントから専用スキャナーがもらえます。
③ Bride は、店内にあるご自分の欲しい品物にスキャナーをあてます。すると、自動的に登録されるようになっています。
④スキャナーをあてる作業が終わると機械のところに戻り、スキャナーを機械にかざすとスキャンした品物がアップロードされます。
⑤レジスター(登録)が完了すると、店のウェッブサイトのレジストリーのセクションに自分の名前とともにスキャンした品物が登録され完了です。
Bride は、とにかく、欲しいものを次から次にスキャンしていくわけですが、そのときは、招待客のそれぞれの予算はあまり考えていません。安いものから高いものまで多めに選んでおきます。Bride は招待客にメールで連絡をします。「~~で選んだので、ID を伝え、ショップリストを見てください」と案内。すると、招待客は、ネット上で一覧に入ることができ、どれにしようかとご自分の予算に合うものを探します。早めに選ばないと、Sold out の表示。いかがでしょうか? Bride が事前に選んでいるものの中から、さらに購入者が選んで配送されるなんて、かなり合理的すぎでしょうか。
わたくしの知り合いですが、ブランド指定がありすべてテイファニーでした。銀製品のプレートなど高価なものばかり。早めに選ばないと大変なことになりそう…と親戚中の叔母さま方が大騒動。実際のお話です。ただ、二人で一緒に贈るとかも可能です。もちろん、招待客がご自分でプレゼントを選ぶこともありますし、MONEY CARD(現金)での贈り物もウエルカムです。
招待客全員にShower を依頼することが一般的というわけではなく、親戚や友人に限るなど、リクエストの相手もBRIDE の意向で決まってきます。
マンハッタンでは、この「WEDDINGBRIDE REGISTRY」を設置しているショップが、この数年で増えていますので、のぞいてみてください。
新婚生活に必要なものが主流
BIGDAY までにBride に渡しますが、そのことをSHOWER(S)あるいはSHOWERS TIME といいます。タイミングは、ホームパーティ、テイーパーティなどさまざまです。
プレゼントは、結婚後の生活に必要なものを選ぶことが基本。なんと、Bride から送り主にリクエストすることもできます。叔母さまたちには、ベットルームで使うものにしてね! ブランドはCRATE & BARRELがいいわ! とお願いしておくのです。そうすると、贈る品物が重ならないように、話し合います。わたしはベッドカバーと枕カバー。わたしは妖艶なネグリジェ! などなど。
Bride は、大きなリボンでラッピングされた箱を、それぞれからいただくと、すぐにラッピングを外し、ときには、ビリビリと破ってしまいます。早く見たいということの気持ちをあらわし、例えばネグリジェのときなどの場合、服の上から試着したりなどして、喜びを表現します。とにかく、声、表情、しぐさは、ダイナミック。
日本のように、物静かに、「つまらないものですが」とか、「こんなことまでしていただいて」ということは、英語表現でも気持ちの上でもないように思いますね。
お友達には、キッチン用品…と、同じくカテゴリー別に割り当てることもできるのです。
ブランド指定もできます。え? そんなことして、失礼ではないの? と思うかもしれませんが、これがニューヨーカーのウエディング文化なのです。Wedding Bride Registryが活躍するのも、日用雑貨のショップやブランドショップにこの機械が常設されて利用されるのも、この国ならではです。
CRATE & BARREL(アッパーEastサイド)は、新居に必要なアイテムがすべてそろっていて、シンプルで価格もリーズナブル。ニューヨークらしいデザインでお勧めです。何が流行するのかも、こんなショップにいくとキャッチできますので、ウオッチングだけでもいかがでしょうか。
お返しはFavor だけ?
日本では引き出物という文化がありますが、そもそもお返しという認識がありません。
ホストのおもてなしは、おいしい食事とビバレッジとステキな空間だけに集中します。 あとは、プロにお任せです。
お返しという意味ではなく、日ごろのマナーと同じと考えてください。ニューヨークでは、Bride が簡単なギフトを用意しておきます。そのギフトのことをFavor といいます。Favor はBride 手作りクッキーなど、親しみのあるものにしていました。最近では手作りではなくFavor 専門店などで購入したものでもOK です。帰りに荷物になるようなものは避ける習慣があります。
ただ、遠くからの宿泊するゲストの方のために、別の贈り物を準備しておきます。宿泊先ホテルにその旨を告げ依頼しておくと、ベッド上にセットアップしてくれます。品物はお部屋で飲めるワインとか、荷物にならない程度のものなど、上手に選ぶことにも慣れているようです。チェックイン後、部屋に入ったときすぐに分かりますので、その心遣いがうれしいものですよね。ホテルマンがフロントで渡すようなことは決してありません。
プレゼントの予算は個人差あり
ここでとても大切なことをお話ししておかなければなりません。
これまでのことを読まれると、ゲストって大変! Bride は欲しいものを要求するの?それこそ失礼では? と思われたかもしれません。
Showers。マネーカード。キャッシュ。いろいろな方法がありますが、すべて、贈る側の予算に応じてすれば良いのです。何もなかったらホストがどう思うのか…なんて、まったく関係ありません。
あるパーティで、遠くから駆けつけたGROOM の友人が平服でした。足元はスニーカー。
GROOM は立ち上がり、ありがとう!と、HAG。
ステキなシーンです。アメリカ全体、そしてニューヨークは特にアッパー層とロウアー層という表現に対して、差別する意識もなく恥ずかしいということもなく、アッパー層はお金持ちですから、それなりのことができると考えるだけです。アッパー層にとっては、寄付行為(Donation)も当然のこと。そして、慈善事業(NPO)などは、すべての人々が同じように意識して実行しています。
ニューヨーカーワンポイント英語表現
U n i v e r s i t y ? C o l l e g e ?
大学とカレッジ? 何がちがうの?
ニュアンスのちがいです。結局どちらでもいいわけなのですが、U n i v e r s i t y は呼び名、つまり大学の肩書き・総称としての大きな意味になります。
オフィシャルなプロフィールとか自己紹介をするときに使います。
C o l l e g e は中身について表現するとき、
例えば、
「T h e l e c t u r e o f c o l l e g e 」大学の講義
「F r i e n d s o f c o l l e g e 」大学の友達
「M y b e s t f r i e n d i s t h e g u y t h a t I m e t i n c o l l e g e . 」親友とは大学で出会ったんだ。
どちらを使ってもまちがいではないのですが、ニューヨーカーは、この二つを微妙に使い分けています。使い慣れないと難しいですね。
わたしたち日本人の概念では理解しにくいと思いますが、感じ取ることと経験の積み重ねで自然に出てくるようになります。
SHOKO
editor、NY 在住
慶応義塾大学大学院法学修士
米国IFDA Chairman
Established1993 米国IFDA は、NY(USA)所在のWPP/WMP 他資格発行機関URL:http/www.ifda.info/ 世界中にフローラルデザイナー・ウエデイングプロデューサー・イベントプロデューサー資格取得者4700名(2015 年)。現在も多くの卒業生が世界で活躍中。日本IFDA 問い合わせ先honbu@sfds.co.jp
~ The lovely flowers relieve the heart, the highest design produced by polishing the heart ~