社外におけるコンシェルジュの活動の一つ
近年、消費者の心理が「モノを買う」という行為的視点から、モノを買うことで得る楽しみや経験を追求し「モノを選ぶ」という志向になってきた。サービス概論の中でも「ホスピタリティー」がより研究されることとなり、さまざまな分野でコンシェルジュの経験を生かして「ホスピタリティー」を語る機会が多くなった。病院、銀行、デパート、官公庁、学校など、その依頼は広範囲に広がり、コンシェルジュがさまざまな業界の方と交流を深めるきっかけにもなっている。
当初は、それぞれの団体のお客さまへのサービス教育の一環として、コンシェルジュが日ごろ行なっているサービス対応やスピリットを生かしたスタッフ向けの講話を行なうことが多かった。
それが最近は、観光客の情報が集まるというコンシェルジュの役割の認知が深まったのか、常々口にしているお客さまのニーズを生かしたグループ単位での意見交換や、話し合いを積極的に設けてくださることが増えている。私たちコンシェルジュもその機会に、関連企業の取り組みを知り、ひいては自分たちのお客さまへのサービス向上につながることと、前向きに取り組んでいる。
かつてお客さまがショップで大量のお買い物を楽しみ帰館され、その後ホテルスタッフが車で引き取りに行くケースがよくあった。ハイクラスのブティックでさえ、当日商品を届けてもらうことは難しく「有料で良いのになぜ日本のショップはデリバリー手配をしてくれないのか」とお客さまからの苦情が重なった。このようなお客さまのニーズをその都度コンシェルジュは伝えてきた。今ではデリバリーサービスも可能になったと聞いている。
第12回
東出 江津子 Golden Keys 黄金の鍵 ~ Hospitality の世界から~
第12 回 日本のホスピタリティーレベルを押し上げるKey Person
【月刊HOTERES 2016年02月号】
2016年02月26日(金)