コンシェルジュは民間外交官
2015 年流行語大賞の年間大賞に「爆買い」が選ばれ、ノミネートには「インバウンド」も選出されていた。多くの海外ゲスト、とりわけアジア圏からのゲストが、ホテルをはじめ関連業界に多大な影響をもたらした1 年であったと言えよう。
そうしたゲストの旅程は全国に渡り、滞在日数も長い。最近は来日と帰国日のフライトのみを決めて入国するゲストも多く、来日してから言葉の問題や社会環境の違いを感じてコンシェルジュデスクに問題解決を求めるケースが増えている。国内旅行の旅程作成や手配を一任されるのだ。また「これからちょっと大阪に行く」と昼下がりにデスクに寄るゲストもいて、各地域や施設の“点”としての情報はあっても、それが“線”では結ばれていない現状が垣間見える。このようなケースでは自身のホテル以外の地域であっても、観光概略や宿泊先、交通手段を案内し、文化の違いや予測しにくい事態も考慮し意向に沿うよう手配を行なう。ゲストはまとまった時間とお金を消費するためその責任は大きく、日本の地理や歴史、文化を幅広く学ぶ必要があると痛感する。この良しあしで日本の印象が変わることもあり、コンシェルジュはゲストにとって身近な民間外交間の一人となる。
第10回
東出江津子の「Golden Keys 黄金の鍵」 ~ Hospitality の世界から~
第10 回 コンシェルジュは民間外交官
【月刊HOTERES 2015年12月号】
2015年12月25日(金)