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第六回 高桑 隆の「良くも、悪くも、大変化。いま日本の農業と『食』を考える」

第六回 繁盛道の駅が農産物直売所を育て、巨大SCモールの集客の核として、サテライト出店

【月刊HOTERES 2016年02月号】
2016年02月23日(火)
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  こうして平成16年、第三セクター㈱どまんなかたぬまは設立された。
 当道の駅を訪問し、驚いたことがある。それは農産物売場の活気だ。通常、どこの道の駅にも農産物売場はある。道の駅の、売上の中心も農産物。
 農産物直売所の仕組みは、出荷してくれる農家を募集し、各農家と契約し、毎日農産物を出荷してもらう。農家の手取り収入は、手数料15~20%引かれ、翌月銀行口座に現金が振り込まれる。

道の駅の農産物直売所「朝採り館」の週末の混雑ぶり

 
 当道の駅の農産物売場「朝採り館」は、農産物が非常に豊富だ。種類も多い。篠原社長は言う。
 
「他の農産物直売所を見ると、農家は朝出荷したら、夕方残ったものを引き取りに来るだけです。でもそれはおかしい。当道の駅は、“地元密着”が身上です。
夕方のお買い物客のため、第二弾、第三弾の出荷もお願いしました。
 農産物は、キャベツの季節にはキャベツだけと、産地中の品揃えになります。ですから売り場は、キャベツならキャベツ、大根なら大根と、そればっかりになりがちです。
 これでは、“カレーライスはできない!(つまり、玉ねぎや人参、ジャガイモなどいろいろな野菜がいつも揃わない)”とお客様が話していました。
 そこで、足りないものは各地から取り寄せたり、仕入れたりして品揃えの充実をはかりました。
 農家の人と話していると、“今年は暖冬で、大根一本60~70円くらいにしかならない…”なんて嘆いていましたが、“なに言ってんだい、ならば一本200円や300円で売れる、すっごい大根作ればいいじゃないか?
 他に無い、凄い大根作ったらいい。売れるぞ!”とカツを入れてアドバイス。
 幸いこのへんは、大規模な農家が多く、自家で加工もしています(6次化)ので、赤飯や餅、珍しい漬物、寿司、お惣菜、ジュースやジャム、ドレッシングなども出荷してもらい、売場の充実もはかりました。そのおかげで、地域の雇用が増えたようです。後継者も育ってきました。
 息子さんがこう言うらしいのです。“父さん、来年は他の農家がやっていない、こういう作物を作って出そうよ!”その結果がこれです。種類が豊富で新鮮でしょう。

栃木と言えば「とちおとめ」イチゴ
美味しそうなサトイモが豊富に陳列

  おかげで出荷してくれる農家の収入が格段と良くなり、年売上高1000万円なんてザラです。なかには、3000万円を超える農家さんもいます。
 農家の皆さんの車でわかります。道の駅開設当時は、“この車、大丈夫…?”と、心配になるようなボロ車が多かったんですが、出荷が順調にゆくと、ドンドン新車に買換えますネ。なかには、外車に乗ってくる人もいて、皆儲かって良かったな…と嬉しくなりますネ」
 
 これには驚いた…。TPP問題などで、“日本の農家は貧乏で…”など、悲しいニュースばかりが流されてきた。しかし、農業だってやり方次第なのだ。
 商売の基本をしっかり押さえ、お客様の声に耳を傾け、よく考え努力に工夫を重ねれば、チャンスはどこにだって転がっている。篠原社長の話しに耳を傾け、何度もうなずいた次第。
 最後にビッグ・ニュースがある。昨年10月、成功した「朝採り館」をビジネス・モデルとして、「どまんなかマルシェ」を、栃木県小山市郊外「イオンモール小山SC」に、サテライト出店したのだと言う。
 勿論、出荷していただく農家は地元の小山市内、近隣の茨城県筑西市、結城市などの農家、運営は「どまんなかたぬま」の社員。「どまんなかマルシェ」は、たかが面積90㎡。売り場面積30000㎡の巨大SCには、小さな売り場かもしれない。
 がしかし、日本の農業をひっくり返すような、そんな重大ニュースに思える。
 農産物直売所を、一つのカテゴリーキラー(大型専門店)として、食品流通に革命を起こす…そんな可能性を感じるビック・ニュースではないか…。 
 おかげで出荷してくれる農家の収入が格段と良くなり、年売上高1000万円なんてザラです。なかには、3000万円を超える農家さんもいます。
 農家の皆さんの車でわかります。道の駅開設当時は、“この車、大丈夫…?”と、心配になるようなボロ車が多かったんですが、出荷が順調にゆくと、ドンドン新車に買換えますネ。なかには、外車に乗ってくる人もいて、皆儲かって良かったな…と嬉しくなりますネ」
 
 これには驚いた…。TPP問題などで、“日本の農家は貧乏で…”など、悲しいニュースばかりが流されてきた。しかし、農業だってやり方次第なのだ。
 商売の基本をしっかり押さえ、お客様の声に耳を傾け、よく考え努力に工夫を重ねれば、チャンスはどこにだって転がっている。篠原社長の話しに耳を傾け、何度もうなずいた次第。
 最後にビッグ・ニュースがある。昨年10月、成功した「朝採り館」をビジネス・モデルとして、「どまんなかマルシェ」を、栃木県小山市郊外「イオンモール小山SC」に、サテライト出店したのだと言う。
 勿論、出荷していただく農家は地元の小山市内、近隣の茨城県筑西市、結城市などの農家、運営は「どまんなかたぬま」の社員。「どまんなかマルシェ」は、たかが面積90㎡。売り場面積30000㎡の巨大SCには、小さな売り場かもしれない。
 がしかし、日本の農業をひっくり返すような、そんな重大ニュースに思える。
 農産物直売所を、一つのカテゴリーキラー(大型専門店)として、食品流通に革命を起こす…そんな可能性を感じるビック・ニュースではないか…。

生産者の顔が掲載「朝採り館」原木シイタケ 
巨大イオンSC(写真は群馬県太田)

  大手ショッピングモールにも、少子高齢化の波が押し寄せ、競合も激化し集客に苦戦する中、大手と何のゆかりもない道の駅の「農産物直売部門」が、集客の目玉として誘致される時代になった。
 篠原社長は言う。
「今後は、北関東全域に『どまんなかマルシェ』をサテライト出店したいと考えています…」
 話を聞き終えて、久々に爽快な気分になった。日本農業の未来に、大きな可能性を感じる話だった。

フードビジネスカウンセラー
高桑 
㈲日本フードサービスブレイン 代表取締役
Takashi Takakuwa
1950年北海道生まれ。神奈川大学経済学部経済学科卒業。74年、公開経営指導協会小売業通信教育「売場管理実務講座」文部大臣賞受賞。75年、㈱デニーズジャパン創業期入社。99年、㈲日本フードサービスブレイン設立。2000年居酒屋トレーニングセンター「長鳴鶏」を開店、脱サラ・独立開業支援。01年サッポロビール21世紀会(帝国ホテル)他、年間30回以上講演実施。02年法政大学にて「店舗独立開業講座」を開設、06年度第6期まで開講。04年服部栄養学園調理師専門学校で、フードマネジメント科目担当。05年産業能率大学非常勤講師に就任、ショップビジネス科目担当。06年桜美林大学非常勤講師に就任、フードサービス産業論担当。08年コンサルタント会館レストランマネジメントコンサルタント講座開設。

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