店舗内観。「seven x seven」ブランドの世界観に、「BATIDA」が店名に込めたリズム( ※ポルトガル語)を感じて貰える空間を、“斬新でありながら繊細な料理”と“上質でありながらカジュアルなサービス”で作りだしている
本連載Vol.113で紹介した、「seven x seven 石垣」内レストラン「BATIDA」。
ホテル内レストランとしてはもちろんだが、石垣グルメに新風を吹き込むであろう同店の魅力を伝えるべく、同店について改めて紹介していきたいと思う。
前稿でも触れたが、同店は「seven x seven 石垣」内で提供されるフードサービス全般を請け負う㈱fridaysが、新たな業態として開発したラテン・イタリアンレストランだ。同店の開業に際して同社は、地元石垣や八重垣諸島の食材をメインに用い、宿泊ゲストはもちろんだが、島民のお客さまにも楽しんでいただけることを主軸にコンセプトワークを行なったという。また、施設やロケーションに漂う開放的でリラックスした空気感をレストランでも感じながら食事を楽しんでいただきたいとの思いから、上質でありながら肩肘張らずにくつろげるカジュアル感も織り交ぜたサービスを提供することにしたそうだ。 高度なスキルが求められる“上質とカジュアルのバランスを取った”サービスの実現は、机上で考えるほど簡単ではない。しかし、同店ではそれが見事に実装されている。 これは同店のみならず、同施設内のBarなどでも同様のことが当てはまるのだが、非常に心地よくホスピタリティに満ちたサービスが提供されている背景には、㈱fridays代表取締役であり、かつて「CASITA」のマネージャーとして活躍した米沢弘志氏のオーガナイズと指導力が大きく寄与していると言って過言ではないだろう。
シグネチャーデザートであるバスクチーズケーキ。フォークの重みでとろけだすほどフィリングのチーズはクリーミーだ。サービスの際、プレートに弊誌のロゴをデコレーションしてくれた
今回、敢えてレストラン部門を分けて紹介した理由には、ホスピタリティに加え、地元食材への真摯な姿勢がお客様への姿勢と共通している点、そして新たな味を創り出すクリエイティビティがある。
まず、業態を単にイタリアンとせず“ラテン・イタリアン”とした理由のひとつとして、石垣島の気候がメキシコのそれと非常に似ている点があったという着眼点だ。さらに四方を海に囲まれた環境がスペインやポルトガルなどの地中海沿岸地域のそれに通じるものがあり、そこからの着想でメニュー開発を行なったという。いくつか事例をあげると地元に根付く食文化ではありつつも好みが大きく分かれるヤギ肉を、初心者でも抵抗なく、さらには純粋に美味しい肉料理として食せる味わいに昇華させた。また、島唐辛子をハリッサやハラペーニョといった自家製の調味料にすることでさまざまな料理の味付けに活用している。さらに、元々生産数が少ない石垣牛の中でも“最上級”と言われる新里牛の仕入れに成功するなど、畜産をはじめ、農業や漁業に至るまで、地元生産者との信頼関係がしっかりと感じられる料理が散見され、メニューを選ぶ時に“どんな料理なんだろう?”とワクワクするものも多い。いうまでもなく、いずれの料理も美味しい。
彼らの地域文化へのリスペクト、そして発想力があればさまざまな地方グルメに新たな魅力が生まれるだろう。もちろん、石垣における新たな味わいの誕生にも期待大だ。
「BATIDA」
https://www.instagram.com/batida_ishigaki/
「seven x seven 石垣」
https://www.hoteresonline.com/articles/13649
担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp