施設ロビー。エントランスをはいると正面に福岡の人気夕日スポットとしても有名な桜井二見ヶ浦が広がる。テラス席も設えられており、“糸島”時間を堪能できるパブリックスペースが出迎えてくれる
「FAV HOTEL」を展開することで知られる霞が関キャピタル㈱の連結子会社、fav hospitality group㈱が新ブランド「seven × seven」の第一号施設、「seven × seven 糸島」を福岡市の西端にある糸島半島・二見ヶ浦地区に開業した。同地はもともと市街化調整区域となっており、本来であれば新規での建物建築が不可となっていたエリアだ。しかし、既存の自然を活かす形で地域の活性化につながるのであればと、地域の自治協議会が同意し建築が可能となる規制緩和の制度が設けられた。
オープン当日には開業セレモニーが行なわれ、福岡市長の高島宗一郎氏も駆け付けた。2016年に始まった“西浦プロジェクト”の中で創設された同施設が開業に至るには、自治体をはじめ、地元企業や地域のひとびとの理解、後押しがなくては実現しなかったという。その軌跡は地域振興に取り組む事業者にとって参考にすべき点が多くある
当初、同取り組みに対して反発の声がなかったといえば嘘になる。しかし、丁寧なコミュニケーションを重ね、草刈りへの参加や工事中に土砂があった際に迅速に対応するなど地元コミュニティの一員として活動する中で、“地域一丸となっての開業を目指そう”と潮流が変わったという。オープン当日に行われたセレモニーに際し、「本開業は、同地区の思いの熱さがさまざまな障壁を克服し、そして規制緩和につながったことから実現した」と福岡市の高島市長がコメントしたことからも、同社が時間をかけて地元地域との結びつきを構築してきた結果の開業であったことがうかがわれた。
そんな同施設の客室はスタンダードツインからさまざまな趣向を凝らしたスイートまで、いずれの客室もグループ利用ができるシステムになっている。BBQオプションがついたものやペットフレンドリーの客室もあり、家族や友人とのグループでの滞在を中心にさまざまなシーンでの利用が可能だ。また、セルフホスピタリティの観点からQRコードによるスマートチェックイン、客室のキー機能、デジタルコンシェルジュが導入されており、お客さまひとりひとりのスタイルで滞在を楽しめる工夫を施しつつ、人材問題の課題も解決している。また、施設2階には福岡食材を使った創作料理が楽しめる「Eatery」と「Café&Bar」が入っているが、地元食材を料理する楽しみも味わってもらいたいと各客室にはキッチンが設えられている。滞在魅力のひとつである食に関しても、お客さま自身がオリジナルのプランをカスタマイズできるのだ。4月からはビーチヨガのアクティビティも提供開始となり、今後はSUPなどの水上スポーツやE-Bike、ワークショップなど、アクティビティプランの開発にも力を入れていくという。
同社ではロケーションを最大限に活かすことが宿泊事業をする上でもっとも重要な要素だと考えており、施設創生においては土地の取得から手掛けることを理念にしているという。既に今秋にも石垣島に新たな施設の開業が控えており、同社が今後の日本観光にどのような一石を投じてくれるのか? とても楽しみだ。ぜひ、同社の展開に注目してもらいたい。
「seven × seven 糸島」
https://sevenxseven.com/hotels/itoshima/
担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp