太平洋にむかい、開放的に展開されているインフィニティプール。各季節、各時間帯でおのおの違った魅力を望むことができるが、冬場の澄んだ空気の中でプールに入りながら見る景色は他に類を見ない特別感だ
昨夏、千葉県安房郡鋸南町にオープンした「BOTANICAL POOL CLUB(以下、BPC)」。通年、屋外でプールに入れるというコンセプトのもと開業した施設が初めての冬を迎えた。
シグネチャープール、インフィニティプール、POOL SUITEやPOOL VILLAに併設される小型プールと、全プール温水となっており、冬場でも水中にいる時は非常に温かいが、果たしてプールからあがった後はどうなのだろうか? 昨今の日本の冬が暖冬だとはいえ、冬は冬である。プールからあがった後の体感は大丈夫なのだろうか? そしてプールサイドでの時間を楽しむことはできるのだろうか?
恐らく同施設が開業した際、皆一様にこのことを考えただろう。施設側にとっても未知数の課題であったことが予想される。もちろん、寒気から体を守る冬季用のバスローブの用意やホットメニューの充実など対策を用意してその季節を迎えただが、お客さまの反応がいかなるものとなるのか? 不安がなかったかといえばそうではないだろう。
しかし、これらの心配は杞憂に終わったようだ。実際に筆者も何人か冬季に滞在したゲストの体験談を聞いているのだが、皆一様に“寒さはまったく問題なく、楽しく過ごせた”と回答している。もちろん、プールにも入った上での回答であり、年末年始なども大勢のお客さまがプールタイムを楽しんだという。冬場に屋外プールでの時間を“楽しめる”とはBPC、あっぱれである!同施設のコンセプトは日本の観光産業に“新たな可能性と楽しさ”を、カルチャーという形で提案した成功事例だといっていいだろう。
ところでBPCといえばもう一点、特筆すべき魅力がある。それはグローバルスタンダードな大らかさをもって提供されているペットフレンドリーの体制だ(※受け入れには犬種・サイズ・頭数の制限あり。宿泊を希望する際は要確認のこと)。
全21室となっている客室のうち4室がペットステイ可能な部屋となっており、さらにはプールサイドでも一緒に遊んだり、食事を共にすることができる(※プールでの遊泳は禁止)。別途でドックランスペースも用意されており、西畠氏によりセレクトされたさまざまなグリーンが茂る中で、犬たちが解放的に遊べるようデザインされている。筆者が滞在した折にもペットステイのお客さまがいたが、人間も犬もストレスフリーで楽しんでいる光景が実に微笑ましく、ペットステイの需要が高まる昨今、ペットフレンドリーの導入や強化、方向性について検討中の事業者はぜひ、視察に訪れてもらいたい。
それにしても実に面白い施設が誕生した。折々の季節の移り変わりと共に、BPCも新たな魅力を創生していくだろう。BPCの今後の動向に注目だ。
「BOTANICAL POOL CLUB」
https://botanicalpoolclub.com/
担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp