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毛利愼の外食エンターテインメントVol.79

凱旋帰国!北村啓太氏が「apothéose」で魅せる新たな挑戦

2023年12月11日(月)
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エントランスからほど近い位置に登場するダイナミックなオープンキッチン。フランス時代を共に過ごしたシェフ・パティシエの宮本景世氏、スーシェフの渡邊亮介氏、シェフソムリエのBertrand Verdier氏も同店開業にあたり来日し、最高のコンディションで東京での新たなスタートをきった
エントランスからほど近い位置に登場するダイナミックなオープンキッチン。フランス時代を共に過ごしたシェフ・パティシエの宮本景世氏、スーシェフの渡邊亮介氏、シェフソムリエのBertrand Verdier氏も同店開業にあたり来日し、最高のコンディションで東京での新たなスタートをきった

本場フランスで、ミシュランの星を5年連続で獲得してきたスターシェフが帰ってきた。パリの人気店「Restaurant ERH」を率いていた北村啓太氏が、虎ノ門ヒルズステーションタワー49階に「apothéose」を開業するべく帰国したのだ。
 
当初、北村氏のライフプランに“日本へ拠点を戻す”という意味での帰国はまったくなかったという。しかし、運営会社である「Plan・Do・See」との縁、そして森ビルが開発をすすめる「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」最上階の「TOKYO NODE」内における開業が見せる展望など、さまざまな要素がひとつのイメージとしてまとまったことで、15年ぶりに日本の地で新たな挑戦をする決意をしたという。

 

北村啓太氏。小田原「ラ・ナプール」、「レ・クレアシヨン・ ド・ナリサワ」と8年間の成澤由浩シェフ師事を経て、渡仏。「ピエール・ガニェール」、「シェ レザンジュ」などの名店を経て、2017年「エール」のシェフに就任。2019年より5年連続でミシュランの一つ星を獲得した
北村啓太氏。小田原「ラ・ナプール」、「レ・クレアシヨン・ ド・ナリサワ」と8年間の成澤由浩シェフ師事を経て、渡仏。「ピエール・ガニェール」、「シェ レザンジュ」などの名店を経て、2017年「エール」のシェフに就任。2019年より5年連続でミシュランの一つ星を獲得した

そんな北村氏が帰国後まず取り組んだのは、日本食材と改めて向き合うことだ。農業や漁業をはじめ、日本全国のさまざまな地、そして生産者の元に足を運び、“日本再発見の旅”をしたという。その旅で感じたことは、同じ食材であっても日本とフランスでは“別物”といっても過言ではないものが数多くあり、中でも塩の違いに感じるものが大きかったという。塩はいかなるジャンルにおいても料理の要だ。この発言に筆者は、北村氏がフランスでの15年間、本場“フレンチ”の世界でどれだけストイックに、そしてアグレッシブに料理と向き合ってきたかを感じた。さらには、そこでミシュランの星を獲得したという実力に、東京での彼の活躍に大いに期待する次第だ。
北村氏曰く「apothéose」では、日本風土が生み出す食材と長きに渡り磨かれてきたフレンチの技の融合によって作り得る、心地よい裏切りや好奇心を掻き立てるような体験を届ける“記憶に残る料理”を創造していきたいとのことだ。彼なら必ずやわれわれの記憶に残る体験を提供してくれるだろう。
「apothéose」の今後がとても楽しみだ。
 
「apothéose」
https://apotheose.jp/
 

2023年冬のコースから「野菜のサラダ」。日々、全国の生産者から届く野菜との会話から、それぞれの個性を最大限に活かすべくエチュベにしたものを下に敷き、フレッシュなマイクロハーブとのコントラストを出している
2023年冬のコースから「野菜のサラダ」。日々、全国の生産者から届く野菜との会話から、それぞれの個性を最大限に活かすべくエチュベにしたものを下に敷き、フレッシュなマイクロハーブとのコントラストを出している
蝦夷アワビのカルパッチョ。お客さまに、ダイレクトに蝦夷アワビを堪能してもらいたいと生で提供する一品
蝦夷アワビのカルパッチョ。お客さまに、ダイレクトに蝦夷アワビを堪能してもらいたいと生で提供する一品
メインとして提供する「蝦夷鹿のロースト ソースポワブラード ビーツの藁燻製ピューレ」。蝦夷鹿のローストに鹿の骨から作ったクラシックなソース、ビーツのピューレでやさしくまとめられている
メインとして提供する「蝦夷鹿のロースト ソースポワブラード ビーツの藁燻製ピューレ」。蝦夷鹿のローストに鹿の骨から作ったクラシックなソース、ビーツのピューレでやさしくまとめられている
ピンクペッパーを効かせたアイスクリームにリンゴのクーリとチップ、さらにリンゴの皮を使ったジャムをあわせたデザート。食材をあますところなく使い切るというのも北村氏の料理における信条だ
ピンクペッパーを効かせたアイスクリームにリンゴのクーリとチップ、さらにリンゴの皮を使ったジャムをあわせたデザート。食材をあますところなく使い切るというのも北村氏の料理における信条だ
日本再発見の旅では畑はもちろんのこと、海にも山にも足を運んだ。同様の模索をするシェフは多いが、北村氏のように日本人としてのオリジナリティと外から日本を見てきたアイデンティティ、その2つを持つ彼がそこに何を見出すのか? とても興味深い
日本再発見の旅では畑はもちろんのこと、海にも山にも足を運んだ。同様の模索をするシェフは多いが、北村氏のように日本人としてのオリジナリティと外から日本を見てきたアイデンティティ、その2つを持つ彼がそこに何を見出すのか? とても興味深い
「apothéose」では、“土を踏む音”“竹林をかき分ける音” “山の湧水が流れる音”など食材選びの旅で出逢った88個の“音”を「SOUND CoUTURE」がサウンドデザインしている。“音”も食体験を彩るエスプリとして大切にしている
「apothéose」では、“土を踏む音”“竹林をかき分ける音” “山の湧水が流れる音”など食材選びの旅で出逢った88個の“音”を「SOUND CoUTURE」がサウンドデザインしている。“音”も食体験を彩るエスプリとして大切にしている

担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp

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