今回は、弊社がホテル旅館の格付け基準を研究してきた中で、ホテルおよび旅館調査スタンスとして基本としている考え方であり、弊社調査員が最初に学ぶことにもなる「基本的視点」をご紹介したいと思います。トップクラスのホテルや旅館に求める要素として、どのようなサービスを中心としてとらえるべきなのでしょう。弊社が、顧客視点を中心に据えて構成してきたホテル旅館格付け基準の構成や、調査上特に留意している考え方が、その施設がどれほど「本気」であるのかという点です。つまりどれほど「本気で顧客ニーズを追求」し、「本気で何を伝えるのか」を考える「本質主義」がサービスの中で輝いているかということです。
ホテルや旅館の提供サービスは、ハードウエア、ソフトウエア、ヒューマンウエアという構成要素の組み合わせがあります。また提供する価値も、宿泊機能、料飲機能、宴会機能、ビジネス機能などさまざまがあります。さらに提供サービスをその性格に分けてとらえると、サービスの迅速性、提供情報の正確性、地域性、デザイン等の審美性、清潔感、機能性、快適性、安全安心感、対顧客積極性、対顧客共感性とさまざまな要素に分類することができます。それらが提供されるシーンを考えますと、予約からチェックイン、客室、バスルーム、レストラン、アウトレット、バスルーム、朝食など、弊社の基準でも調査対象サービスを36 シーンに分けて用意しているのですが、さまざまなシーン別にサービス提供をとらえることができます。このようにホテルや旅館では、顧客に伝えたいさまざまなサービス「要素」があり、伝える手段としてさまざまな「手段」があります。それらをさまざまな「シーン」に応じてコーディネートする必要があるのです。具体的に実践するためには、その前提としてターゲット顧客を明確化し自社の提供サービスをポジショニングする必要があります。つまり、着目すべきサービス要素を選択し、具体的にそれを提供する「手段」を考え、シーンに応じて提供することで、ホテル側の「本気」を表現することが可能となるのです。
第193回
新しい視点 「ホテルの価値」向上理論 〜ホテルのシステム思考〜
第193 回『ホテル旅館格付け基準や格付け調査上の基本的視点』
【月刊HOTERES 2015年10月号】
2015年10月23日(金)