257号に引き続き、小林縫製の話の続きである。マクロで見れば女性下着の消費金額は下がっている。大手メーカーが国内縫製を止めたというニュースも先日あったばかりである。しかしこれらは与件である。自分たちの愛着が、その商品にあるならば、そして、その商品が 10年後も必要とされるのであれば、自社ならではの貢献の仕方を模索していかねばならない。 小林縫製は、ガードルに対する負の解消に乗り出した。後ろ姿が美しくなる喜びは残しつつ、かっこよくはけて、しっかり支えて、苦しくない。この3点を具現化すべく、試行錯誤をはじめたのは半年以上の前のことになる。自分達の思考やもののみかた、ガードルを数十年つくり続けてきたゆえに染み付いた既成概念を打ち破るところからプロジェクトははじまった。
岡村衡一郎
(おかむら・こういちろう)
1971年生まれ。亜細亜大学卒。(株)船井総合研究所を経て、2004年(株)スコラ・コンサルト入社。120社を超える企業変革を支える。「会社が変わるとは何か」、「人がイキイキ働くには何が必要なのか」を考え続け、「一品」という変革コンセプトを発見、体系化する。支援先の起源や今あるリソースを足場に、「あるもの」から「ないもの」を生み出す一品イノベーションに多くの経営者ファンを持つ。変わるためのテコをあぶりだす「経営者オフサイト」、「『一品』で会社が変わるワークショップ」を主催。著書に『一品で会社を変える』(東洋経済新報社)、『30代でチームのリーダーになったら最初に読む本』(同社)など
ご意見・ご質問お待ちしております
okamura-kouichiro@scholar.co.jp