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財団法人宿泊施設活性化機構 事務局長 伊藤泰斗

寄稿 「宿泊施設コロナ対応指針」の具体的取り扱いについて

2020年06月15日(月)
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宿泊業界人としては詳細に読むと首をかしげる内容も多い「宿泊施設コロナ対応指針」が公表されました。年初までは普通に営業してきた一般的な宿泊施設経営者としては「コロナだからってここまでやるのか! どれだけの労務負担や投資負担が加わるんだ?」と眉をひそめる方も多いものと推察いたします。
 
この特別寄稿では、「これはいかなる考えによって誰が作成したのか」「この対応指針の取り扱いについてどうすればよいか」について考え方を整理したいと考えております。

財団法人宿泊施設活性化機構
事務局長
伊藤泰斗

 
当該指針策定の政治的背景
 
 JALF 独自の調査によると、発出に名を連ねる業界団体(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟)の事務局や幹部・会員は、「宿泊施設コロナ対応指針」の本文作成にほぼかかわっていないと認識しております。実際、内容は部門別に濃淡が見られ、非業界人が裏側を垣間見られない部門の記載内容は極めてあいまいで、宿泊業を本質的に理解している専門家が作成したものであるとは思えません。
 
 実際には、これは厚生労働省本省の官僚が「宿泊業に対して一般的な観点から作成した指針」であり、配布を各業界団体に依頼したものと理解することが順当であると考えます。
 
 
厚生労働省における法令等に準拠した
文書の作成思想
 
 厚生労働省が作成する法令および法令等に準拠した文書は、基本的に「実務的に可能かどうかを問わず、論理的一般的に考えられることをすべて盛り込み、現実的には実施されているかどうかを確認せずにそのまま運用させる。施行後、もし個別企業において大々的な事故等が発生した際には、『本来順守すべき指針を守らずにこのような事態になってしまったことは監督官庁として誠に遺憾である』と言って責任逃れをするために、当該文書は存在する」という建て付けになっていると理解しています。
 
 今回の指針もこの文書作成思想に基づくならば、現実的に実施することが可能か否かは一切考えられずに作成されているということになります。したがって宿泊業実務者が「全項目を確実に順守するのは事実上無理でしょう」と思ってしまうのは、その成り立ちからみても妥当なことであると考えられます。

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