今回はインバウンドに人気で国内を代表する観光デスティネーションである京都府の中で注目度が上がっている宇治市を取り上げる。同市は平等院など旧跡を多く持つ観光地であり、特産品の宇治茶が有名で、近年では老舗宇治茶専門店が都内に出店して話題になっている。以下に宇治市のマーケットポテンシャルと京都府南部のマクロマーケット、京都府内の観光マーケットを見ていこう。
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1. マーケットポテンシャル
宇治市の人口は18 万5940 人(2017年3 月末人口)(図表1)。京都府内の人口シェア7.4%で、府庁所在地であり、政令指定都市である京都市に次ぐ2 番目の人口規模となっている。府内では京都市と宇治市のみが人口10 万人以上を有している。しかし、京都市が54.7%のシェアで宇治市より7 倍以上の人口規模となっていることから、京都市との人口の差は大きい。
その他の府南部都市を見ると長岡京市が8 万153 人、城陽市が7 万7023 人、木津川市が7 万4654 人、八幡市が7万1141 人、京田辺市が6 万7392 人、日向市が5 万5287 人で、この6 市が宇治市以外で府南部における人口5 万人以上都市となっている。
増加率(17 年/ 12 年)を見ると、宇治市は▲ 2.2%の微減となっている。
府南部都市で増加している都市を見ると、木津川市、京田辺市が5.1%、日向市が2.1%、精華町が1.8%、大山崎町が1.6%、長岡京市が1.0%となっている。特に増加率が高い京田辺市、木津川市、精華町は京都市、宇治市に近く、さらに大阪府や奈良県に隣接するなど、関西圏の主要都市に近い位置に立地している。
宇治市の年齢構造を見ると若年人口比率は19.4%、適齢期人口比率は25.1%となり、若年人口比率は全国値(18.0%)を上回り、適齢期人口比率は全国値(25.1%)レベルとなった(図表2)。その他の府南部都市を見ると、エリア内で人口増が顕著だった京田辺市は若年人口比率が23.9%、適齢期人口比率が27.1%と突出して高く、木津川市も若年人口比率が21.8%、適齢期人口比率が26.2%と高くなっている。若年人口比率はその他にも精華町が23.6%、宇治田原町が20.4%と高く、全国値を上回っている都市が多く存在している。
適齢期人口比率はその他にも長岡京市が25.8%、日向市が25.5%、八幡市が25.2%と全国値を上回っている。高齢者(65 歳以上)人口比率を見ると全国値(23.0%)を下回っている都市が半数以上あり、府南部は山間部の都市を除くと比較的若いマーケットが存在することが分
かる。
将来推計人口を見ると宇治市はすでに減少フェーズに突入し、2040 年ころには2010 年ベースから約▲ 17%程度になると推計されている(図表3)。その他の府南部都市を見ると木津川市は2040年ころでも増加し続け、京田辺市、精華町は2025 年ころまで増加し、2040 年ころでも2010 年ベースを維持すると見られている。この3 都市は非常に人口ポテンシャルが高いと言えるだろう。それ以外の都市はおおむね減少フェーズに突入し、将来的には2010 年ベースの▲ 10%~▲ 55%程度になると思われる。宇治市は将来的にも15 万人規模を維持し、府内2 位のポテンシャルを維持できると推計されている。
宇治市の婚姻件数(2016 年)を見ると、715 件で、府内婚姻件数に占めるシェアは5.9%であり、人口シェアを下回っていることから婚姻マーケットは流出傾向にあると思われる。婚姻率を見ると宇治市は3.77 件で全国平均(4.93 件)を下回っている(図表4)。
京都府内の結婚式場業を見ると、京都市に多くの事業所が集積しており、その他は福知山市と宇治市に事業所が見られる(図表5)。宇治市の事業所数は1 事業所、1 人当たりの従業者数は11人。京都市がブライダルビジネスにおいても強いブランド力を有しており、府内における求心力が強いため、ほかの都市のブライダルビジネスの集積は限定的である。
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2020年05月12日(火)