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レポート 第5回全国B.M.C. 若手コンペティション 「羊質虎皮からの脱却」

心身ともに魅力あるホテルマン、 ホテル業界作りに向けた若者の主張飛び交う

【月刊HOTERES 2015年08月号】
2015年08月19日(水)
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今夏7 月8 日、「第5 回全国B.M.C. 若手コンペティション」が開催された。全国12 ブロックより予選を勝ち抜いた次世代の若者たちが「私が考える夢を持てる業界像」をテーマに最終審査に挑んだ。

全国 B.M.C(. 全国宴会支配人協議会)は2015 年度の行動方針は未年にちなんで「羊質虎皮からの脱却」とした。「羊質虎皮」とは、外見は立派だが中身がないことを指す。外見的な華やかで高級感のあるホテルのイメージと現場の現実とのかい離はホテル業界で働く意欲、魅力を減退させている。魅力のあるホテル業界を作り上げていくためには現場力を高めること、まさに“やってみなはれ”の精神で若手を育成していくことが何よりも不可欠であるとした。

「現場力というのは、トップダウンではなくボトムアップの組織です。 現場に権限を与え、自分で考え、行動するチームを作らなければいけません。物を言える風土を作り、部門間の壁をなくす。長い間言われ続けていますが、なかなかできない。それは、人を育てる土壌がないからです。過去の成功事例はもう役に立たない時代です。お客さまと接する現場に、もっと権限を与えましょう。それが“やってみなはれ”です」と伊藤保会長は語る。

そこで今回はテーマを“私の考えるホテルの将来像”とした。長時間労働やお客さまや上司、先輩に怒られることなど、夢と希望を抱いて就職したはずの同僚や仲間が辞めていく中で自身は何をもってホテルに勤め、ホテルに何を期待しているのか、若者目線でホテルが改善すべきことは何なのかを6 分間スピーチで語った。

結婚や出産などでやめざるを得ない現状をどうしたらよいのか、自身の行動や成果に対しての正当な評価基準が必要ではないのかなどの問題提起や、ホテルは自分にあった適職を選べる環境にあるなど、さまざまな業種や仕事に分業化されているホテルだからこその魅力など、それぞれの視点で熱く語られた。


確かにホテルは最初に配属されたセクションで最後まで働く傾向が強い。宿泊なら宿泊、宴会なら宴会という具合に他部署のことを知らない。宿泊は合わないが宴会は性格的に合う可能性もある。ベッドメイキングや仕入れ部、広報が合う可能性もある。可能性を見出せずに一部署だけの経験でホテルをあきらめてしまっているケースがあることだろう。さまざまな部署を経験させることは自分探し、自分の適職探しとして魅力的であり、ホテルだからできることなのかも知れない。

審査方法は審査員の点数を総計して行なう。第5 回若手コンペティションで最優秀賞(1 位)にかがやいたのは東京B.M.C. 代表「ホテルメトロポリタン」宴会部宴会サービス 鈴木美沙さん。優秀賞(2 位)は名古屋B.M.C. 代表「ANA クラウンプラザホテルグランコート名古屋」料飲部料飲課 花井寿美礼さん、会長賞(3 位)は東北B.M.C. 代表「八戸プラザホテル」料飲部料飲課 金澤勲さんが獲得した。惜しくも3 位までに入賞できなかった中から3 人に感動賞が贈られた。感動賞は北陸B.M.C. 代表「ユアーズホテルフクイ」料飲サービス部小島千恵子さん、大阪・兵庫B. M. C. 代表「ホテル大阪ベイタワー」宴会予約 三好有美さん、北海道B.M.C. 代表「函館国際ホテル」バンケットサービス・レストラン部 妹尾早耶子さんとなった。

最優秀賞を獲得した鈴木美沙さんは女性が長く勤められる職場改善案として、子育てをしている女性に家に帰って食事の支度に困らないように、デリカテッセン的なものを提供するとか、出産祝いとして用意された実用品からほしいものを選べるなど、女性目線のアイデアが飛び出した。優秀賞の花井寿美礼さんはマイクを使わずに舞台いっぱい使って渾こんしん身の演説を披露した。ディズニーランドとホテルのちがい、また行ってみたい場所にするためにはどうすべきかなど、ディズニーランドとの対比を述べた。会長賞の金澤勲さんはまさに“やってみなはれ”で挑戦させてくれること、自身もやってみなはれの精神で挑戦することで成長していきたいことを堂々と述べていた。

いずれの挑戦者も同僚や先輩たちが辞めていく現実の中、ホテルそして宴会部、料飲部の中でふんばって何かをつかもうとしている。まさにこれからの時代を築く世代。世界各国から注目され、世界各国から要人たちが来日する日も刻々と迫っている。都心部だけのことではない。ホテルマンとしてサービスマンとして国際的に通用する人材を早急に作り上げていかなければならない。

まさに伊藤保会長が提言するようにもう上辺だけのかっこ良さはいらない。心身ともにサービスマンである人間をどれだけ輩出できるかに、ホテル業界の未来がかかっていると言っても過言ではない。その一歩として、若者そしてベテランの気付きの場として若手コンペティションの意義、価値は高いものを改めて確信した。

全国宴会支配人協議会
http://e-bmc.com/

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