「不動産活用のプロフェッショナル」として世界一お客さまに愛され、選んでいただける不動産会社を目指している、東証一部上場のサンフロンティア不動産。東京都心の中小型オフィスビルの再生と活用を手掛ける同社は、新規事業として2015 年からホテル事業に参入し、ホテル運営会社を子会社として設立。以降、攻めの姿勢で続々とホテルを開業させており、2020 年 3 月には国内で 15 ホテル約 2100 室を稼働させる予定だという。サンフロンティア不動産の創業者であり、ホテル事業においても総指揮を執る同社代表取締役社長の堀口智顕氏に、ホテル運営事業に対する想いや各ブランドの特色、今後の事業ビジョンを聞いた。
堀口 智顕 氏
Tomoaki Horiguchi
1958 年新潟県佐渡島生まれ。85 年幼少の頃から興味のあった建築の道を目指し設計事務所へ入所し、不動産業に出会う。不動産サービスの新たなビジネスモデルを確立し、夢の実現へ向け 89 年に独立。99 年サンフロンティア不動産㈱を設立。不動産再生事業を中核に事業を展開し、2004 年ジャスダック上場、07 年には東証一部へ上場。15年 8 月連結子会社としてサンフロンティアホテルマネジメント㈱を設立。代表取締役社長就任(同社グループ企業は現在国内外で 21 社)。
「お客さまに喜んでいただけるかどうか」がホテル運営事業の軸
❒ まずはサンフロンティア不動産の創業の経緯を教えてください。
サンフロンティア不動産の前身となる㈱サンフロンティアを創業したのは 1989 年です。上場会社をつくりたいという夢があり、勤めていた不動産会社から独立いたしました。創業後はバブルが崩壊したこともあり、夢を追うどころの余裕はなく生きていくのに必死でした。「人生とは何か」「生きる目的とは」と自らに問いかける日々の中で、37歳の時に人生の師、京セラの稲盛和夫名誉会長に出会いました。「経営とは社員を守ること」だと目を覚まさせてくれ、「人は役立つためにこの世に生を受けている」「人のため、世のために尽くすことこそが人間として最高の行為だ」と教えられました。経営とはこんなに綺麗な心で成して良いものなのだと大感動し、そこから共に働く従業員を何よりも大切に、その上でお客さまに尽くすことのみを考える経営方針に舵をとると、気が付けば売上が例年倍増するほどの結果となって返ってきました。
2008 年リーマンショックが起こった際には再度苦しみましたが、決して会社の方向性を変えなかったことで首の皮一枚で生き残り、現在では業績を堅調に伸ばさせていただいております。
❒ ご自身の経営ポリシー、御社の特徴をお聞かせください。
私たちのビジョンは「世界一お客さまに愛され、選んでいただける不動産会社を目指し、自分たちを磨き続ける。」というものです。私は創業以来一貫して「利他」を社是とし、追求してきました。元来、人を笑顔にすることが大好きで、人の喜びが自分の喜びであると感じるタイプでしたから、それを企業組織としても実現するために、同じ価値観を持つ人財の採用と教育に最も力を入れています。
また、当社の特徴は利益率が高いことです。主力事業であるオフィスビルのリプランニング(不動産再生)事業では、お客さま視点から生まれる付加価値づくりに徹底的にこだわり、結果として利益率34%という高利益率の事業を展開しております。高利益率・高付加価値にこだわった事業展開は、私自身の強い意志であり、これはホテル事業の展開においても何らブレることはありません。
❒ ホテル運営事業を立ち上げた背景をお教えいただけますか。
大きな痛手を受けたリーマンショックからなんとか立ち直り、当社の財務内容が安定してきたころ、オフィスビル事業を幹部がどんどんリードしてくれるようになりました。新しいことにチャレンジするチャンスと余裕が生まれ、新規事業を模索したのがきっかけです。そこで決意したのがホテル事業への進出でした。もともと旅行や観光に興味が強かったものですから、美しいもの、楽しいこと、人が喜ぶ姿に惹かれ、もし不動産会社の社長にならなかったら、旅行会社を立ち上げていたかもしれないと思うほどです。これまで日本全国また世界中の様々なホテルに泊まってきた経験もありました。折しも、当時はインバウンドが伸びていたこともあり、既存の不動産活用事業との親和性からも「よし、ホテルをやってみよう」と2015 年にホテル事業をスタートいたしました。
❒ ホテル運営事業の軸をどこに置いていますか。
「お客さまに喜んでいただけるかどうか」それだけです。お客さまが最高の笑顔で「ありがとう、楽しかった!」と喜んでお金を払ってくださり、「次もまた帰ってきたい」と思ってくださるかどうかが私達の尺度です。そのように言ってくださる方々がどんどん増える「ありがとう連鎖の経済圏」を大きくしてまいります。そのため、リピーター率には徹底的にこだわり、お客さまからの口コミ評価が高いホテルを目指しています。特に自社ホテルブランドである「日和(ひより)ホテル」は、「心温かいホテル」をテーマに、従業員の「心温かい」サービスをつくり込んできました。