日本食とともに、世界中で日本酒が求められる時代となった。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)ではSSI インターナショナルの活動を通じて日本酒の素晴らしさを世界に伝えるとともに、世界中の人々と真の友好関係を築くことを目指している。諸外国における日本酒、焼酎の提供方法の研究を行なうとともに、日本の酒文化、食文化を世界に発信するため、国際唎酒師の資格取得に向けた講習会により啓蒙活動を推進している。SSI インターナショナルの会長を務める日置晴之氏に、増え続けるインバウンドをおもてなしするために、日本の飲食店、ホテルに求められる日本酒への心構えについて話を聞いた。
日本の「食文化」と「おもてなし」を
「日本酒」をキーワードに発信していく
❒ さまざまな媒体で紹介される機会が増えるなど、このところ日本酒がある種のブームを巻き起こしている印象があります。
おかげさまで日本酒に注目していただける機会は増えています。ただ実際には、日本のアルコール飲料市場における日本酒の消費量は、全体の7%に過ぎません。アルコール飲料全体の消費量が縮小傾向にある中で、やれ日本酒ブームだと言ってみても意味がないと思います。日本文化の粋である日本酒はアルコール飲料のマーケットを外側から大きく包み込んで、全体のパイをさらに拡大してくれるだけの潜在的なパフォーマンスを持っていると考えています。
日本酒は料理との相性の部分で、非常に強いパフォーマンスを発揮します。日本全国には約1300 の蔵元が点在していますから、その地域性を生かす形で日本酒と和の食材を組み合わせて提案すれば、お酒をまったく飲まない人にも興味を持っていただける、そんな可能性を秘めていると感じます。
言い換えれば、それは日本文化そのものを飲んでいただくことだと考えています。単に酔うための飲み物ではなく、日本文化という側面に触れることのできるお酒であることをしっかりと伝えられる入り口として飲食店が機能することで、日本酒を飲んでいただける機会を増やせると信じています。