





全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の第93 回全国大会が、6 月3 日、佐賀県佐賀市文化会館で開催された。約1000 人が集まった記念式典では、冒頭大会実行委員長の小原健史氏(佐賀県・和多屋別荘)が挨拶に立ち、4 期に亘り会長を務め勇退した佐藤信幸前会長(山形県・日本の宿古窯)の多大な功績を讃えると共に、新会長に就任した北原茂樹氏(京都府・旅館こうろ)へのエールを送った。
北原新会長は、自身の宿は30 室と小規模だが、逆に歴代会長とは違った視点から宿泊業界を見ることが出来るのではないかと述べ、65 歳の自分が先輩方と若い方の橋渡し役として、この任を全うしたいと抱負を語った。
また、業界を取り巻く諸問題にも言及。インバウンド需要の拡大は追い風だが、規制緩和により、宿泊業の新しいビジネスモデルが旅館業界を脅かしているという現状に触れ、「こうしたアゲインストの風についても、この機会をチャンスと捉え、政治的に物を言いながらも、プラスになることは取り入れて行く姿勢も必要なのでは」と自身の見解を述べた。
さらに、改正耐震改修促進法の問題に加え、旅館業界が人手不足に悩んでいることを挙げ、その原因はサービス産業の労働生産性の低さにあるとした上で、「業界としても、今の社会に適応した労務管理、就業規則の見直しなど具体的な行動を起こす必要がある。そして若い人達が旅館ホテルで働くことを誇りと思い、旅館業というおもてなし産業に従事することが大きな喜びとなるような職場づくりをすることが、全旅連に課せられた一つの課題であり、一歩ずつ着実に前進して行きたい」との考えを披露した。
続く来賓祝辞では、佐賀県PR のためミラノ国際博覧会に出向いていた山口祥義佐賀県知事が駆け付け、「旅館業界は日本の素晴らしい文化をしっかり守っている頼もしい存在」と賛辞を送り、「来年誕生400 年を迎える有田焼など、佐賀にある様々な『本物』を実感して行っていただきたい」と挨拶した。
その後祝電披露や表彰式などを経て、北原新会長から佐藤前会長へ、有田焼で作られた感謝状が贈呈された。佐藤氏は自身が会長を務めた8 年間を振り返り、リーマンショックや政権交代、東日本大震災など色々なことがあった中進んで来られたのも、皆様の支援のおかげと御礼の言葉を述べ、今後は理事長として山形県のために尽くしたいと力を込めた。
大会宣言・決議の採択の後、アトラクションとして全旅連青年部が取り組む「旅館甲子園」を舞台で再現。次期開催地発表では東京都の面々が登壇した。
新会長が挨拶の中で「全国大会は全国の同志が一つの地に参集し、心を一つにする絶好の機会」と語り掛けた通り、参加者にとって、非常に有意義な大会であったに違いない。
(取材・文 竹内 美樹氏)