ラ・リストで上位に選ばれた日本のトップ料理人が日本全国から集結したパーティで直撃インタビュー。現在のレストランが考えていること、また、将来、世界を見据えてどう変わっていくのだろうか。日本の食が世界から注目されて久しいが、レストラン界を牽引するトップシェフたちに、社会の変化やオリンピックに向けて考えていること、レストラン業の今後進むべき姿についても聞いた。
江戸前寿司の美味しさを
日本の思い出として残してもらう
銀座久兵衛/今田洋輔氏
寿司は日本の食文化を代表するものなので、日本に来たら一度は食べてみたいと思うのでしょう。ラ・リストでは今回も世界2位の高得点をいただいて光栄に思っています。
インバウンドが好調なので、銀座の店では夜8時以降は外国のお客さまだけになってしまうこともあります。予約はホテルのコンシェルジェを通していただくことが多いので、「私たちの仕事を予約するなら、お客さまにも義務が生じますよ」とドタキャンしないようにマナーについても注意していただいているので、気持ちよくお客さまをお迎えすることができます。
私の店には、味の安定、清潔、適正価格、お客さまに余分な気を使わせない、VIP も一見さんも同じおもてなしをする、という5カ条があります。これは外国の方に対してでも同じですから、まず、カウンターに座ると、必ず「ウエルカム!」と英語で話しかけることにしています。とくに、板前1年生は英語で挨拶をすることは必須の仕事にしています。その後はシャリや山葵の量を聞いたり、そのたび毎に会話が生まれて、リラックスしていだだけます。そして、ご一緒に写真をご希望の方には撮るときには「ウニー」と声を出していただいて笑顔になっていい思い出を残していただいています。
近頃はかれらが「本国で食べている寿司と違う」といって、日本にきたら絶対本場の寿司を食べたいとの意気込みで店にいらっしゃいます。江戸前寿司を楽しみ、その醍醐味を長く思い出とともに残せるのはうれしいです。