夕暮れの「竹泉荘」。新しいスタートを切って5年目を迎えた
仙台・宮城蔵王にある名門旅館「竹泉荘」。5年前にオーナーチェンジで香港企業が経営を引き継いだ。2010年4月に「竹泉荘Mt.Zao Onsen Resort &Spa」の名前で新しいスタートを切ったが、1周年を迎える目前に東日本大震災に襲われ、建物は無傷ながら原発の影響などを危惧する香港の親会社の意向もあり営業中断をよぎなくされた。その約半年後の2011年10月1日から業務を縮小し営業再開。厳しい状況は続いていたが少しずつ売り上げも戻り、5周年を迎えた今、新体制を固め積極策を前面に打ち出した。
新体制の中心となっているのが副総支配人の佐藤智博氏。佐藤氏は香港企業が新オーナーとなり開業準備を進めているときに入社。一時期、宮城を離れ都内のホテルで働いていたが、昨年の4月に現場責任者として復帰し陣頭指揮を執っている。
「ラグジュアリーリゾートとしての基本的な経営方針は開業当初と変わっていません。自然あふれるロケーションと素晴らしい施設の中で、上質なくつろぎをご提供することが私どもの務めと思っています。しかし、その良さは実際に利用していただかないとご理解いただけません。マーケティングに力を入れ、国内外のお客さまに対してより積極的にアプローチしていこうと思っています」と佐藤副総支配人。
一方、スパもテナントを入れていた事もあったが、直営に切り替えた。高級ホテルとして有名なタイのグループホテル「スコータイバンコク」のスパ ボタニカと提携を結び、トリートメントには東北地方初導入の「アロマセラピーアソシエイツ」の製品を使用している。レストランは日本料理「竃神(かまじん)」の1カ所。東京などの料亭で経験をつんだ直井清一料理長を迎え、本格的な日本料理を提供している。地元産の食材を厳選するなど、必ず満足してもらえるメニューを提供するように心掛けているという。またA5ランクの仙台牛を“蒸ししゃぶ”などの名前で提供するユニークさも持ち合わせている。
客室は全部で32室。13タイプとバラエティーに富む。標準タイプは10室で平均43.5㎡の広さ、1泊2食で1名3万1000円から。週末料金は3000円アップする。スイートは100㎡を超えるものを含めて11室、1室を除き温泉が付いている。どのタイプもデザインにこだわり、天然素材がふんだんに使われている。
年間平均稼働率の目標は60~ 70%。売り上げは昨年が一昨年比で126%であったが今年はさらに20%アップを目標にしている
取材:本誌 松沢良治






DATA
名称=「竹泉荘Mt.Zao Onsen Resort & Spa」/住所=〒989-0916宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉字上ノ原88-11/TEL=0224-34-1188/FAX=0224-34-1677/URL=
www.chikusenso.com/総面積=約2万坪/パブリック=ロビーラウンジ、レセプション、ライブラリーラウンジ、ギャラリーショップ(以上1階)、ライブラリー(2階)、雲海ラウンジ(5階)/客室=32室(シングル2、デラックス15、和室4、スイート11/レストラン&バー=日本料理竈神(テーブル席、カウンター席、半個室)・The Bar(カウンター8席、ソファ4席)/温泉=男子大浴場・露天風呂、女子大浴場・露天風呂、貸し切り露天風呂(2カ所)/スパ&フィットネス「スパボタニカ」=トリートメント(3室)、カウンセリングルーム、岩盤浴、ミストサウナ、リラクゼーションルーム、ショップ、フィットネスジム/会議室・宴会=会議室(10席)、多目的ホール(89㎡)/運営企業=オズベルトホテルズ株式会社/代表者=代表取締役李焱氏/資本金=1000万円/施工=鹿島建設/デザイン=橋本夕紀夫デザインスタジオ/開業日=2010年4月22日/関連企業=ミンリーコーポレーション(香港)/グループホテル=ザ・スコータイ・バンコク(タイ)/オーベルジュ・ディスカバリーベイ(香港)