今回取り上げるのは熊本県の県庁所在地である熊本市。2012 年4 月1日に九州3 番目の政令指定都市に移行した。熊本城下町を中心に発展してきた熊本市は九州南部の行政・ビジネス・商業の中心地となっている。九州新幹線が開通したことにより九州全体の観光ポテンシャルが上昇しており、中心都市である熊本市もその恩恵を受けている。以下に熊本市のマーケットポテンシャルを見ていこう。
文殊リサーチワークス http://monju-rw.com
1.マーケットポテンシャル
熊本市は人口73 万1815 人(2013年3 月末)を擁する熊本県の中心都市である。これは熊本県内人口の40.1%のシェアとなる。熊本市以外の県内市部を見ると、八代市が13 万2775 人で続いており県内第2 の都市となっている。しかし、熊本市との人口格差は60
万人以上と極めて離れており、さらにその他の都市では人口10 万人を超える規模は存在しないことから、県内の人口構造は熊本市への一極集中状態と言える。地方都市においては中心都市への一極集中の傾向が見られるが、熊本市は特にその傾向がドラスティックと言
える。
過去5 年間の人口増加率(13 年/08 年)を見ると、熊本市は1.4%の増加となっている。県内市部では合志市が6.2%で最も増加率が高いが、それ以外の都市ではすべてマイナストレンドとなっている。その中でも上天草市が▲ 8.2%、天草市が▲ 7.3%、水俣市
が▲ 6.2%と減少幅が大きく、県南部のマーケットシュリンクが目立つ。
熊本市の年齢構造をみると、若年人口比率は20.1%、適齢期人口比率は25.7%であり、共に全国レベルを上回った。その他の県内市部を見ると、若年人口比率は合志市が22.2%、宇土市が20.0%、玉名市・菊池市が18.6%、宇城市が18.1%と全国レベルを上回っている。しかし、適齢期人口比率は熊本市以外全ての市部が全国レベルを下回った。若年人口比率の高い都市でも適齢期になると熊本市をはじめ他地域へ流出していると考えられるだろう。また天草市や上天草市など県南部の都市は特に若年人口比率、適齢期人口比率が低く、高齢者比率(65 歳以上人口比率)が30%を超えて高いことから、高齢化の進展が憂慮される。
将来推計人口を見ると、熊本市はすでに減少フェーズに入っており、2035年ころで2010 年人口の約90%程度になると推計された。その他の県内市部を見ると合志市のみ人口が増加し続けると推計され、同市は地方都市においては極めて高い人口ポテンシャルを持つと言える。それ以外ではすでにマイナストレンドに突入しており将来的には30%~ 40%の減少となる可能性がある。そのため、熊本市の人口一極集中傾向はより顕著になっていくだろう。また合志市は将来的に天草市、玉名市、宇城市、山鹿市、荒尾市を抜いて県内第3 の都市となり、県内の人口バランスが変動する可能性がある。
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