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能登に生まれ 能登に育ち 能登と共に 震災復興にかける想い ~ (株)リバイタライザーズ 代表取締役 / あわら温泉つるや 代表取締役 小田 與之彦氏

2024年01月24日(水)
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株式会社リバイタライザーズ 代表取締役 /  あわら温泉つるや 代表取締役 小田 與之彦氏
株式会社リバイタライザーズ 代表取締役 / あわら温泉つるや 代表取締役 小田 與之彦氏


石川県七尾市出身。慶応大商学部卒業後、1991年に丸紅入社。米シェラトン・ワイキキ・リゾートホテルを経て、99年に加賀屋。同年コーネル大学ホテル経営学部大学院修士課程修了。2014年に社長に就任し、22年10月に退任した。22年5月から現職。日本青年会議所会頭などを歴任した。趣味は旅行とゴルフ、読書、マラソン。特技は英会話。


令和6年1月1日16時10分に石川県能登地方でマグニチュード(M)7.6(気象庁暫定値)の「令和6年能登半島地震」が発生した。石川県の志賀町で震度7を観測するとともに、沿岸域では津波も観測され、広い範囲で被害が生じた。犠牲となられた方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げたい。また、被災地における救命・救助、復旧活動などにご尽力されている皆さまにも深く敬意を表すとともに、被災地の一日も早い復旧を祈念申し上げたい。
 
今回の能登半島地震において半島全体の観光業が瀕死の状態にある。観光業は地域経済への波及効果が大きく、観光業は石川県及び能登の基幹産業であり、観光業の衰退・消滅は能登、ひいては石川県の大きな後退につながるのだ。

ここに能登復興・再建に動き始めたひとりの経営者がいる。元和倉温泉加賀屋の代表取締役で現旅館経営者の小田 與之彦氏である。自身が経営する㈱リバイタライザーズで「経営コンサルティング事業」を行うと同時に、ホテル・旅館の運営にも参加するなど、地域活性化につながる取り組みにも精力的に関わっている。小田氏に震災後の能登の現状課題と復興への想い、そして今後の進むべき方向性を聞いた。(2024.1.10 取材)


能登観光の歴史を紐解くと
それは地域への希望の光

 
・・・能登半島について、その観光歴史と特徴を簡単に教えていただけますか
 
今回の能登半島地震の震源に近い奥能登をはじめとする4市5町は「能登の里山里海」として世界農業遺産に認定されている地域です。昨年11月には「農業遺産シンポジウム」が和倉温泉で開催され、地域資源を活用した活性化への取り組みをアピールしたばかりでした。また、のと里山空港の整備、能越自動車道の無料化等が追い風となり、観光業をけん引役とした地域経済の活性化が期待されましたが、2019年末から発生したコロナ流行の影響により、観光業(宿泊業)は長期にわたり経営難に直面しました。一方で2023年に入り復活傾向がみられ、インバウンド観光客も地方にも入場してきました。しかし、宿泊業界の深刻な人材難による営業制限や物価高による原価・運営費の高騰などの新たな課題が発生し、その克服に努めて現在に至っています。
 
・・・それが今回の地震で甚大な被害を受けたということですね

 
従来から「事業継続計画」の準備が官より提唱され、企業側としては準備を進めてきたと認識していますが、今回の地震のダメージは先の2019年3月に発生した群発地震とは比較にならない重度のものとなっています。具体的には、①深刻な建物被害(和倉地区においては修復には最低半年程度は要する模様)②水道の回復遅れ、③交通網の寸断、④従業員の被災の4つがあげられます。多くの企業は、当座の対応策にもままならない状況であり、復帰に向けた計画策定にいまだ着手できない状態です。また、収入源が断絶した状態で固定費用の流出は続く見込みとなり、従業員への対応が「喫緊の課題」となっています。
 

「リバイタライザーズ」という
地方の「再活性化」を図るプロフェッショナル集団

 
・・・旅館経営とともに、リバイタライザーズという会社も経営されています
 
現在は、福井に本拠地を移し宿泊業を営んでいますが、自分を育てた和倉地区への想いは依然強く、企業の使命を「観光産業の活性化」とした(株)リバイタライザーズを2021年に設立しました。主な事業内容は、「宿泊施設の運営支援」・「観光事業者の経営支援」・「地域振興」の3つです。今回の地震は能登半島観光業の危機ですが、リバイタライザーズの活動を通して早期復興の一助として活動していければよいと感じています。すでに、いくつかの金融機関や、官公庁からもご相談をいただいております。

 

わたくしの考える復興スキーム
再開までの「人財」確保と徹底した金融施策の構築が急務

 
・・・具体的にはどのようなアクションを考えていますか
 
和倉温泉の被害額が1000億円超と馳知事がアナウンスしたこともあり、支援が得られやすくなった一方で甚大な被災地というイメージが定着し、復興までにより長い時間がかかると思います。和倉の宿泊施設や街の被害状況、また和倉の宿泊需要に影響度が高い能登半島の状況を考えると、客観的に見て単独の努力による再建は不可能で、東日本大震災の時のような政府による強力な支援がなければ無理だと考えています。

リバイタライザーズは、昨年11月に人材派遣とコンサルティングを生業としている会社に出資しました。その会社は東日本大震災やその他の災害で被害を受けた事業者の再生計画の策定とその実行をやった経験があります。今回、その会社のノウハウと経験、人的ネットワークを活かして、能登と和倉の再興に向け取り組もうと考えています。具体的に重要な施策は以下の4つだと考えています。①政府が設立する組織(東日本大震災事業者再生支援機構のような組織)による債権の買取りと金融機関の協力、②なりわい再建支援事業の適用(上限額や補助率の引き上げを狙う)、③在籍型出向に対する補助金の確保(休業中に出向する際に出し手側、受け手側双方への補助金)④自治体による固定資産税の減免措置です。また、再開に向け取り組む施設の最重要課題として、その間の従業員をどうするか、だと思います。特にコロナは流動費に大きな影響があり固定資産などには減損はなかったのですが、今回の地震による被害で固定資産は大きく滅失したところが多いです。二重ローンの問題もあり、多様な資金の調達方法を模索する必要があると考えています。


 

震災復興までのステップ
震災復興までのステップ


震災復興への想い
 
・・・最後に一言お願いします
 
元旦に発生した地震は、能登半島に深刻な被害をもたらしました。インフラ・交通網の早期回復に官の強力な支援を期待するとともに、事業者ベースにおいても、早期復興に向けた対策の着手が求められている状況であると認識しています。わたくしは生まれ育った「能登」の復興に全力を傾け、わたくしの活動が一刻も早い地域経済復興の一助になればよいですし、復興には多くの関係機関との協力が不可欠ですのでよろしくお願い致します。

(担当 林田)

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