今回は沖縄県の離島を取り上げる。サンゴ礁の海や原生林などの豊かな自然に恵まれ、近年の離島ブームもあって観光客が多い地域である。ホテル開発も活発化しており、注目されるエリアだ。以下に沖縄県離島部のマーケットポテンシャルと観光マーケットを見ていこう。沖縄県全体のマーケットポテンシャル、観光ポテンシャルに関しては那覇市編を参照していただきたい。

1.マーケットポテンシャル
沖縄県には 100以上の離島があり、県内の指定離島（※1）は 54島、離島振興対策実施地域（※2）になっている。そのうち 37島が有人離島である。沖縄県内における主要離島の人口規模を見ると、石垣島が最も多く4万 9046人であり、それに次いで宮古島が 4万8339人となっている。この2島のみが人口 1万人以上を有す離島である。その他の主要離島を見ると、久米島が 7799人、伊良部島が5054人、伊江島が4567人で、それ以外の離島は 1千人～2千人程度の人口を有している。

　増加率（19年／ 14年）をみると、主要離島においては減少傾向の島が多いものの、その中で与那国島は 10.6％、西表島は 7.1％、石垣島は 1.0％で増加傾向にあり、宮古島は横ばいになっている。地方都市での人口減少が顕著な中で、希少な地域と言えるだろう。その一方で、伊良部島や、伊是名島、多良間島は主要離島のなかでもマイナス幅が10％に迫るほど高い減少率となっている。（図表1）

　年齢構造は各離島が所属する市町村で見ていく。主要離島の都市の年齢構造を見ると、若年人口比率が高く、大半の都市で全国レベル（17.4％）を上回っている。特に多良間村の 23.3％、石垣市の 22.9％、宮古島市の 21.1％、伊平屋村の 21.0％、久米島町の 20.2％と全国レベルを大きく上回っている都市が見られる。適齢期人口比率を見ると、若年人口比率と反対に全国レベル（22.3％）を下回っている都市が多くなっている。その中で竹富町が 27.3％、与那国町が24.0％、石垣市が 23.0％で全国レベルを上回っている。高齢者人口比率（65歳以上人口比率）は全国レベル（26.6％）を概ね下回っているか、全国レベルとなっており、他の地方都市と比較して高齢化の進展は緩やかになっている。（図表2）
 
将来推計人口をみると、概ね 2040年頃には 2010年ベースの人口規模の 70～85％程度になると見られている。人口規模の小さい地方都市は 50～60％まで減少するところも珍しくないため、比較的人口ポテンシャルのある地域と言えるだろう。その中で石垣島は 2010年ベースを維持し続けると見られており、将来的には宮古島市の人口を上回ると予想される。（図表3）

　主要離島の位置関係を確認すると、宮古島は沖縄本島から南西に約 287km離れており、石垣島は約 411km離れている。西表島は石垣島からさらに約 32km離れる。一方、久米島は沖縄本島から西に約 89km離れた位置にあり、比較的沖縄本島に近い距離にある。宮古島、石垣島は大都市圏の空港からの直行便があり、宮古島は東京から約 3時間、大阪から約 2時間、石垣島は東京から約 2時間半、大阪から約 2時間と、比較的アクセスが至便と言える。久米島は那覇から空路で約35分、フェリーで約3時間半となっている。（図表4）

　主要離島の面積を見ると、2021年 7月に世界自然遺産に登録された西表島が最も大きく289.62km2となっている。ただし、島の面積の多くは原生林に占められており、可住地は少ない。また、人口の多い宮古島と石垣島はそれぞれ 158.93km2、222.24km2と比較的大きい面積となっている。石垣島には北部に山間部があり、南部に人口が集中する。宮古島は平地が多く、畑と住宅が広がっている。（図表5）

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