日本の食文化を未来に繋げるとともに、食産業の発展、食に関わる従事者の社会的地位向上への寄与を使命とする「一般社団法人　日本飲食団体連合会」（通称「食団連」／会長：服部 幸應氏）が設立され、その報告会が1月19日に開かれた。

外食産業の実情のまとめ役を担う

「食団連」は、わが国の飲食企業や専門店など飲食業に関わる14団体で設立。現在、20を超える団体や勉強会を含む有志の会が参加を表明、30を超える団体・協会等が会員となり、その店舗数は数万店に達する業界随一の団体になるという。

　設立の経緯は2020年に新型コロナウイルス感染が拡大し、オーナーシェフや外食企業経営者による政府・与野党、自治体への働きかけをした。2021年6月には飲食関連18団体による「外食崩壊寸前、事業者の声」と題した記者会見を実施してきたが、さらなる声を集め、政府等に働きかける必要性が改めて強く認識されたことで、大きな団体を設立する必要に迫られた。そして、1月19日、ついに設立の緊急記者会見が開催された。この日、首都圏へのまん延防止等重点措置寸前であり、飲食業界の動向が大きな注目を集めた。

　会長の服部幸應氏は「食団連の設立を機に、個人・小規模から数十店舗規模の中堅大手を中心とした広範囲な飲食店や事業者の声を集め、外食産業の発展に寄与したい。コロナ禍の中小企業の倒産の件数が増加し続け、その大半が外食産業であることから、政府や行政に訴えていきたい」と語れば、副会長の佐藤裕久氏は「食団連は１店舗から数百店舗経営の多岐の団体が連合するが、政府のコロナ対策支援が規模による実情につながっていないし、科学的な根拠に基づいた政策を要望したい。また、飲食店を支えてくれる酒屋、酒蔵、食材の生産者にはその支援が届かないのも問題だ」と語った。副会長の山下春幸氏は「まん防が出て営業時間を短縮するとお客さんの意識が下がり店に行くのを控える傾向になってしまう。コロナ禍３年目を迎えるこれからは借入金の返済の時期にくるのも頭が痛いところだ。そして、日本が第6波を乗り越えてインバウンドの受け入れができるようになった時、食材の調達、調理人が不在ということもあり得る。観光立国日本の食を担うレストランがなくなってしまったらどうするのか。１００年、２００年の歴史をもつ老舗がなくなり、技術の継承もできなくなっている」とも話す。

専務理事の二之湯武史氏は「多くの問題を解決するべく、業種の垣根を超えて飲食業という大きな括りのオールジャパンで取り組むことは意義が大きい」。専務理事の秋元巳智雄氏は「現在たくさんの業界団体の勉強会があり、それぞれが政府、自治体とも色々な活動をしている。これからは地方や中小個人の声を集結して要望書を出していきたいし、セミナーなども開催したい」という。また、理事の高橋淳氏は「２０２５年は大阪で万博が行われるので４年に1度の食博を行い、各生産地の食材も世界に発信していきたい」と語れば、「接客を担当するサーバーの日本一を決める大会が今年3月は中止になったが、食で笑顔を作るためにサーバーコンテストも行いたい」と理事の柴泰宏氏も意欲的だ。食べ手として発信をしている理事の里井真由美氏は「思い出づくり、潤いという外食の楽しさや良さを再認識し、多くの人に応援者になってほしい」と語った。
外食産業は、農業、畜産、漁業など各産業をつなげ発展させる市場規模も大きな存在だ。「食団連」が外食産業の繁栄の大きな力となることを期待したい。
 

「食団連」加入団体（1月19日現在）
(一社)大阪外食産業協会／(一社)日本居酒屋協会／(NPO)居酒屋甲子園／(一社)⾷⽂化ルネサンス／（公社）全国調理師養成施設協会／(一社)全⽇本・⾷学会／(一社)太陽の会／日本飲食業経営審議会／(一社)⽇本飲⾷未来の会／(一社)⽇本ファインダイニング協会(JFDA)／(一社)日本フードビジネス国際化協会(JIFA) ／（公社）日本中国料理協会／（NPO)日本料理アカデミー／(NPO)繁盛店への道

問い合わせ先
一般社団法人日本飲食団体連合会 事務局
メールアドレス：info@shokudanren.jp