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ホテル・旅館はプラスチック製アメニティをどう減らしていけば良いのか?そのヒントとして

2021年10月09日(木)
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来年4月にはプラスチック製アメニティを減らす必要がある

環境対策・サスティナビリティに対する取り組みの必要性が高まっています。日本でも来年(2022年)4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行されることとなり、ホテル・旅館でもプラスチック製品を削減する必要があります。コンビニエンスストアでレジ袋が有料化されたように、ホテル・旅館でも「歯ブラシ・カミソリ・クシ・ヘアブラシ・シャワーキャップ」の5つのアメニティがプラスチックを使ったものであれば、削減が必要となったのです。

プラスチック資源循環促進法の概要
プラスチック資源循環促進法の概要


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国が指定する削減方法は7種類

国から指定された5つのアメニティ「歯ブラシ・カミソリ・クシ・ヘアブラシ・シャワーキャップ」は、削減方法についても指定された方法から選ぶ必要があります。『「プラスチックに係る資源循環の促進等に 関する法律」の政省令・告示について』 という資料の中に詳細があるのですが、ちょっと表現がわかりにくいので、亜欧堂で簡易的にまとめてみました。解釈違いがある可能性は否定できませんので、必ず原文もご参照ください。

国が指定するプラスチック製アメニティの削減方法
国が指定するプラスチック製アメニティの削減方法

7つの方法のうち「サイズ変更」と「事業者内で繰り返し利用」は、ホテル・旅館の特製上馴染まないと思われますので、実質選択肢は5つです。では、この5つの削減方法からどれを選ぶべきなのでしょうか。そのヒントを得るべく亜欧堂はアンケート調査を実施し、なんかと610件の回答をいただきました。お客様の意向調査としては本来もう少し回答数がほしいところではありますが、何もないよりは良いと思います。


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ウェビナーに申し込んでいただいた方の状況

お客様の意向を確認する前に、ウェビナーに申し込んでいただいた方の状況を確認してみましょう。

会社方針はほとんどが「検討中」
会社方針はほとんどが「検討中」

個人的見解は「プラスチック製品に代わる製品を設置」が最多
個人的見解は「プラスチック製品に代わる製品を設置」が最多

やはり現時点ではほとんどの会社が「方針を検討中」のようです。削減方法の個人的な見解を伺うと「プラスチック製品に代わる製品を設置」が最多でした。この質問は施設のADR毎にグラフを塗り分けています。色が濃くなるほど高単価の施設です。意外と低単価のホテルであっても何かしらの製品を置きたいという考えの方が多いようです。

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調査結果から得られた主な知見

調査結果から得られた主な知見
調査結果から得られた主な知見

アンケートは「比較的低単価のホテル」と「比較的高単価のホテル」に分けて必要ないアメニティや削減方法の希望、有償販売する場合に許容できる金額などをお聞きしています。本来は価格帯毎にお聞きしたいところですが、細かすぎる質問はアンケートの回収率が低くなることなどから、回答者の主観的に「安い・高い」を判断していただきました。

フロントでの受け取りが最多
フロントでの受け取りが最多

単価により回答は異なる
単価により回答は異なる

単純に最も多い回答は「フロントでの受け取り」なのですが、低単価施設と高単価施設では傾向が異なります。高単価施設ではアメニティが必要と考える方の比率が高くなるようで、それに伴い「プラスチックに替わるアメニティ」や「自宅で繰り返し使えるアメニティ」に切り替えてほしいという要望が多くなっているようです。

不要なアメニティの回答状況
不要なアメニティの回答状況

別の切り口で国から指定された5つのアメニティのうち不要と思われるものをお聞きした結果が上図です。複数回答可能としていますので、グラフの見方としては「低単価ホテルで歯ブラシが不要と答えた方は610名中約20%」という具合にご覧ください。

高単価ホテルでは不要と答えた方が低単価ホテルと比べると少ないことがご確認いただけます。また、アメニティ毎に要・不要の回答状況が大きく違うことが確認できます。
歯ブラシは必要でシャワーキャップは不要とみて良いようです。

不要なアイテムの回答状況(性別毎)
不要なアイテムの回答状況(性別毎)

アンケートでは回答者の属性も細かく伺いました。
1. 年齢
2. 性別
3. 職業
4. 出張頻度
5. プライベートな旅行の頻度
6. ホテルの好み(価格)
7. 環境対策

しかし、回答者の属性による回答の偏りはほとんど見られていません。
例として性別による違いをまとめたもの(上図)を上げておきます。カミソリが例外的に性別による差が大きい(男性は必要・女性は不要)のですが、それ以外は性別による回答の差はほとんど見られません。むしろホテルの価格による違いが大きいのがわかるでしょう。

有償販売時の許容価格
有償販売時の許容価格

アメニティを有償で販売した場合の許容価格についても伺っています。価格の目安として低単価ホテルは10,000円、高単価ホテルは30,000円を設定し、両者が比較しやすいように価格に対する比率でグラフ化しています。結果、アメニティの許容金額は宿泊費の1%程度しかないようです。

ただし、申し訳ないのですがこの質問はちょっと失敗があります。歯ブラシ1本の価格なのか、5つのアメニティセットでの価格なのかを明記しておらず、回答者によって基準がずれてしまっている可能性があります。ホテル業界関係者が41.8%ということも合わせて考えると5つセットで宿泊費の1%は低すぎる気がしますので、歯ブラシ単品で1%という回答だとすれば、5つセットで5%程度は許容範囲なのかもしれません。

社会適応バイアスに注意
社会適応バイアスに注意

お客様の「意向調査」をする際には「社会適応バイアス」の影響を考えておく必要があります。社会適応バイアスとは「回答者が他の人から好意的に見られる方法で質問に答えようとする傾向」のことで、実際の行動より環境に配慮した回答をする可能性が高いということです。

また、OTAの予約導線の影響も考えておく必要があります。いくらお客様が「なるべく環境に配慮したホテルを選ぼう」と思っていたとしても、予約する過程で環境配慮に対する情報が提供されなければ、価格や写真などこれまでと同じ情報からホテルが選ばれることになります。

そこで、実際に価格とプラスチック製アメニティの削減方法を示した際にどのホテルが選ばれるかについても質問してみました。

予約選択時の質問
予約選択時の質問

回答状況
回答状況

その結果、アメニティは有償販売であっても最も安価に表示したホテルを選ぶ方が最多となりました。価格の訴求力というのはかなり強いようです。

好みのホテルのタイプ別の予約傾向
好みのホテルのタイプ別の予約傾向

ただし、ホテルの好み別に予約傾向を集計したところ、比較的低単価のホテルを好む層(全体の47.0%)は「a. 1室1泊朝食付き 10,000円(アメニティは別途有償)」が最多です。比較的高単価のホテルを好む層でも最多は a.ですが、「c. 1室1泊朝食付き 11,000円(アメニティは環境にやさしいものを用意)」の選択肢を選ぶ方が多い傾向も見られます。

このようにアンケートの結果から色々と面白いことがわかってきました。 皆さんはどう方針をお決めになるでしょうか。

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削減方法以外にも気をつけるべきこと

アンケートの自由記述欄を見ているとなかなか興味深いコメントがたくさんありました。
亜欧堂ブログに飛んでいただくと当日のプレゼンテーションがダウンロードできますので、ぜひコメント原文もお読みいただければと思います。ざっくり感想を申し上げますと、「プラスチック資源循環促進法の認知度がかなり低い」ことと「環境に対する意識が高まっている」ことが挙げられます。

認知度の問題はかなり厄介で積極的に業界を挙げて啓蒙に努めなければ、来年4月の施行時には「サービスが悪くなった」というクレームが多発しそうです。
そして「環境に対する意識の高まり」と認知不足が合わさると「環境保護のためにホテルがプラスチック製アメニティを減らしているのであれば、(法律で指定されている削減対象ではない)ペットボトルなんかも減らすべき」というご指摘に繋がりそうです。

実際に「グリーンウォッシング」という問題があります。グリーンウォッシングとは企業が「うわべだけ環境保護に熱心にみせること」です。中途半端に環境問題に取り組むとグリーンウォッシングの批判を受ける可能性があるということです。この機会に国から指定された5つのアメニティだけでなく、ペットボトルなど広くプラスチック製製品の削減・環境対策の強化を検討するべきでしょう。

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いち早く対応を始めたホテルも出てきた

来年4月を待たずにこの問題に取り組んだホテルも出てきています。「プラスチック資源循環促進法」が成立する以前にも、いくつかのホテルで環境に配慮したアメニティを導入したり、客室のお水をペットボトルからウォーターサーバーに変更したりする事例はありました。

JR東日本ホテルズは10月8日に「ワンウェイプラスチック製品」を2022年3月までにすべて代替素材に変更または廃止することを発表しました。この8品目が「ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、マドラー、フォーク、スプーン、ナイフ」となっており、プラスチック資源循環促進法で定義されているもの(宿泊部門だけでなく料飲ん部門に関連したもの)となっています。

詳しくはニュースリリースをご確認ください。

『JR東日本ホテルズ「ワンウェイプラスチック製品」について ホテルで使用している「ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、マドラー、フォーク、スプーン、ナイフ」の計8品目を2022年3月までにすべて代替素材に変更または廃止いたします』

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最後に

亜欧堂はアンケート結果を基にしたウェビナーを10月8日に開催しました。ウェビナーは事後視聴もできますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

【開催報告・事後視聴】ホテル・旅館はプラスチック製アメニティの削減をどのように進めるべきか(プラスチック資源循環促進法に伴う削減義務に対応して)

上記亜欧堂ブログではウェビナーで使ったプレゼンテーションもダウンロードしてご覧いただけます。


この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

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