アイルランド政府食糧庁(ボード・ビア) ジャパン マネジャー ジョー・ムーア氏
アイリッシュ グラスフェッドビーフは、2015 年から日本との輸入が始まり、2019 年にEU と日本の経済連携協定が発効し双方の農産物関税が下がり、昨年は輸入が約14 億円と急上昇した。
牛肉特有の深い味わいに加え、サステナブルで安心・安全な飼育環境が注目されている。アイルランド政府食糧庁Bord Bia 日本事務所で販売促進を担当するジャパン マネジャーのジョー・ムーア氏にアイリッシュ グラスフェッドビーフの魅力について聞いた。
アイリッシュ グラスフェッドビーフの魅力について
アイルランドはヨーロッパの西端にあり、国土の85% は豊かな牧草地です。温暖な気候、豊富な降水量と肥沃な土壌に恵まれ、豊富な牧草地で肉牛牧場の99% は家族経営で畜産の技術と愛情を何世代も受け継いでいます。平均すれば1 農場あたり17 頭の牛を家族で愛情を持って育てていて、1ha(約3000 坪)当たり2 頭未満という低い密度で飼育していることになります。今年新たに、アイルランド独自の「グラスフェッド スタンダード」アイルランド・グラスフェッドビーフ基準が制定されました。年間220 日を放牧、餌の90% 以上が牧草や牧草を原料とした飼葉の飼育というもので、独立機関が監査・検証を行ない、この基準をクリアした製品にのみ公式認定ロゴマークが与えられます。この牧草による飼育方法が脂肪と霜降りが均等に分布し、ビタミン、鉄分、オメガ3脂肪酸などのミネラルが豊富な最高品質の牛肉を生み出します。また、成長ホルモン剤はいっさい使用せず、抗生物質の使用も厳しく制限されています。
長期供給を保証できる環境問題への取り組み
まず、13 年前に始めたアイルランド政府食糧庁が監督する国家的食品サステナビリティプログラム「オリジングリーン」の説明をしましょう。これは二酸化炭素排出量、水の消費と水質、動物福祉、生物多様性、牧草地の管理などを柱に理想的な食品環境の保持のためのものです。牛肉の安全性と長期供給を保証できる世界初の画期的な取り組みといわれています。農畜産家、農業生産者、加工業者、小売業にも及び、独立機関によってモニタリングや検証が行なわれ、牛肉農場の単位生産量当たりのCO2 排出削減量を減らして、豊かな天然資源の保全を実践しています。アイルランドがEU で最も炭素効率の高い牛肉生産国の一つになっている理由でもあります。
そして、1997 年に畜牛の識別とトレーサビリティーに関するEU 規則が施行されました。包括的で徹底した識別とトレーサビリティーのシステムで、すべての牛肉と加工品はそれぞれの出生時まで遡れます。アイルランドでは牛が個体別にパスポートを持っているのでトレーサビリティーは簡単にクリアできます。
国際的なコンテストでも高評価
2019 年のワールド・ステーキ・チャレンジで、オーストラリア、ニュージランド、ウルグアイ、米国、EU 諸国が参加する中、アイリッシュ グラスフェッドアンガス交雑牛ステーキのワールド・ベスト・フィレ賞を含む最多の75 個のメダルを獲得しました。ヨーロッパ諸国では以前からおいしいとの定評がありますが、「柔らかくて、味わい深く、ナッツの風味もあり、繊維が短く、酸味が少なく、肉汁が溢れる」とフランス・アルボアのミシュラン二ツ星シェフのジャンポール・ジュネ氏はじめプロのシェフの評価が高いのも嬉しいことです。日本ではKIMPTON TOKYO SHINJUKU DISTRICT、VaccaRossa(ヴァッカロッサ)などで味わうことができます。通販では東京468(ヨーロッパ)食材 楽天市場でも扱っていますので、これから多くの方に味わってもらえることを願っています。
【問い合わせ先】
アイリッシュ グラスフェッドビーフ 公式ウェブサイト:http://irishbeef.jp/
アイルランド政府食糧庁Bord Bia(ボード・ビア)
日本事務所:03(3263)0611
アイルランドの国土は北海道くらいの広さ。人口は500 万人弱で牛は670 万頭なので、人間より牛の方が多く、大切に育てられている。豊富な降水量と肥沃な緑の国土のアイルランドは85%が牧草地。緑の大地の心地良さが分かる。
安全性とトレーサビリティーのために、それぞれの牛はパスポートを所持している。
T-Bone ステーキ。濃い赤色の肉は野外放牧されて飼育された証拠。柔らかくて、深く豊かな味が料理人に喜ばれている。オメガ3 脂肪酸、鉄分、ビタミン・ミネラル、タンパク質など栄養豊富