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HOTERES エンターテインメント

(株)バンタン、動画クリエイター育成専門スクール「バンタンクリエイターアカデミー」を開校

【月刊HOTERES 2021年05月号】
2021年05月31日(月)
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入学式に来賓として登壇した長州力。彼も今や、YouTube チャンネル「長州力【公式】RIKI CHANNEL」を持つ人気YouTuber の一人だ
入学式に来賓として登壇した長州力。彼も今や、YouTube チャンネル「長州力【公式】RIKI CHANNEL」を持つ人気YouTuber の一人だ

ファッション業界に始まり、フードやIT、さらにはエンタメ業界まで多岐に渡る業界で即戦力となる人材を育成することに定評のある㈱バンタンが新たな人材育成の場として動画クリエイター育成専門スクール「バンタンクリエイターアカデミー」を開校した。今や経済市場の活性に不可欠となったSNS におけるインフルエンサーを教育から誕生させる取り組みは実に興味深い。今回の“HOTERES Entertainment” では㈱バンタンの新たな取り組みについて紹介する。

授業では現役の人気YouTuberも講師として登場する。写真は「PKA channel」を運営するPKA の3 人
授業では現役の人気YouTuberも講師として登場する。写真は「PKA channel」を運営するPKA の3 人

コミュニティスペースも撮影場所として魅力的なデザインになっている。また同校ではInstagram やTiktok などYouTube 以外のSNS に関する授業も実施しマネタイズや他のSNSとの連動手法も学ぶ
コミュニティスペースも撮影場所として魅力的なデザインになっている。また同校ではInstagram やTiktok などYouTube 以外のSNS に関する授業も実施しマネタイズや他のSNSとの連動手法も学ぶ

同校では表に出るクリエイターやインフルエンサーだけでなく、編集やマネージメントスタッフの育成など包括的に動画配信業界で活躍する人材を育てていく
同校では表に出るクリエイターやインフルエンサーだけでなく、編集やマネージメントスタッフの育成など包括的に動画配信業界で活躍する人材を育てていく

同校では長期間、インターンとして生徒を実践の場に送りだすのも特徴だ。インターン企業にはUUUM ㈱や㈱サイバーエージェントなど講師陣の企業に加え、㈱ドワンゴや㈱クリーク・アンド・リバー社、タグピグ㈱など動画メディアに関わるリーディングカンパニーが名を連ねている
同校では長期間、インターンとして生徒を実践の場に送りだすのも特徴だ。インターン企業にはUUUM ㈱や㈱サイバーエージェントなど講師陣の企業に加え、㈱ドワンゴや㈱クリーク・アンド・リバー社、タグピグ㈱など動画メディアに関わるリーディングカンパニーが名を連ねている

 
徹底した現場教育に見る本気度
 
 インターネット広告がテレビ広告の売上を超え、YouTube などインターネット動画市場が伸びている。また子供たちの人気職業ランキングでもYouTuber がトップ3の常連となりつつある。その中でポテンシャルとニーズをかんがみ、㈱バンタンがUUUM ㈱をカリキュラムアドバイザーに迎え、SNS や動画メディアにおける動画クリエイター育成専門スクール「バンタンクリエイターアカデミー」を開校した。
 講師にUUUM ㈱の市川義典氏や㈱ホリプロデジタルエンターテイメントの鈴木秀氏、㈱サイバーエージェントの藤田晋氏に㈱AbemaTVの谷口達彦氏といった提携企業の経営者に加え、“PKA”のゆーぴーまんや“チキチキバンバン”のまりことちも、といった人気YouTube チャンネルを運営する現役クリエイターも名を連ねている。中学生時代からSNS を駆使してネット業界で人気を博してきたデジタルネイティブであるゆーぴーまんからサラリーマンを経てYouTube で成功し、YouTubeチャンネル運用代行・動画制作会社を立ち上げた升澤裕介氏やTVマンからタレントへと転身し、“動画集客チャンネル”を運営する酒井祥正氏までクリエイター講師の成功体験も多岐にわたっている点が魅力だ。
 同校では校舎デザインにも彼らクリエイターの声を多く反映した。校舎のいたるところが動画撮影のセットとしても活用できる設営となっており、小学校の教室を模した作りになっている部屋もある。これらは在校生の動画撮影に使われるだけでなく、クリエイターへの貸し出しなども予定しているという。また3 年間の就学中、2 年目以降から全生徒が提携企業にインターンとして参加することで学内での学習と社会で実戦経験を繰り返し経験する画期的なシステムが用意されている。この間、企業からのスカウトがあれば飛び級ならぬ“飛び卒業”で就職できる制度まで用意されており、生徒、企業、そして同校のいずれにもメリットがある仕組みとなっている点も興味深く、加えて同校の即戦力となる人材育成に対する本気度が見て取れる。
 しかしインフルエンサー業界はそのあり方が多様化しニーズも広がる一方で、絶対値の成功法則がなかなか見えない業界でもある。その難しさはコロナ禍で多くの芸能人がYouTube チャンネルを開設したが、知名度とフォロワー数、再生回数の伸びが比例しないケースが多かったことでも証明された。その業界で成功する人材を教育で育成するという同校の試みは非常にチャレンジングであり、かつおもしろさを感じる次第だ。
 
 
包括した人材育成を掲げる視点
 
 先述したように現役クリエイターの声を教室のデザインに反映するなど非常に実戦力を大切にし、かつその重要性を深く理解する同校の取り組みには他にも面白い視点がある。それは人材育成の中にクリエイターや映像編集者に加え、マネージャーや企画営業職、チャンネル運営者が含まれている点だ。
 昨今、メディアにおける表現者を育てるスクールや講座は既出であり、小学校ですら“YouTu 部”を有するところもあるほどだ。しかしこれらの現場を支える側の人材育成を明言する教育機関は他にあまり例を見ない。特にマネージャー職や企画営業職に触れられている点は、同校がエンタメコンテンツとしてのメディアクリエイターの価値創生や向上にマネージメントやプロモート力がいかに重要かを理解しているかが見て取れる。
 またメディアクリエイター業界にかかわる人材を包括的に育てることで急成長市場が持つ脆弱さを補い、産業としての確立や価値向上に一石を投じることも期待される。クリエイターの才能発掘においても昨今はSNS をベースにしたスカウトが主流となりつつあるなど、時代の変化と呼応するように新たな手法が生まれており、系統だった教育を受けた人材が見出す“ポテンシャル”からどのようなトレンドが生まれるかも楽しみだ。
 
全生徒が自己チャンネルを開設
 
 同校では入学時に経験値によるクラス分けがあり、おのおののレベルにあった指導が受けられる配慮がなされている。また学校区分として15 歳から入学できる高等部(※ S 高等学校との提携により高卒資格取得が出来るシステムになっている)と18 歳以上の生徒が学ぶ専門部とがある。
 異世代間のコミュニケーションをはかることで社会での実戦力を培う両部の合同授業や動画制作実習にピア・ラーニングを採用するなど、クリエイターとしてのみならず人としての成長にも焦点が当てられている。加えて個々の個性の成長にも力を入れており、生徒全員がおのおののYouTube チャンネルを開設し、運営を行なう実践実習もある。
 その過程でプロモーション案件や広告収入が発生した場合は全額、生徒の収益となるシステムとなっており、収益化のサポートも積極的に行なっていくという。第一期生は高等部、専門部併せて230名以上。この中からどんなクリエイターが生まれてくるのか? そして彼らがエンタメ業界にどのような新風を吹き込むのか? その動向に注目していきたい。
(取材・本誌 毛利愼 原稿 飯野耀子)

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