レストランであると共にビールの製造工場でもあるフラッグシップ店舗の「T.Y.HARBOR」
「T.Y.HARBOR」「IVY PLACE」「CICADA」と食やファッション、ライフスタイルへの意識が高い都会派に高く支持される店舗を多く運営する「TYSONS & COMPANY」が3回目の緊急事態宣言における飲食店での酒類提供の禁止に伴い、自社製造製品である「T.Y.HARBOR Brewery」のボトルビールを対象店舗で飲食をしたお客さまへ3000円の利用毎に1本プレゼントするキャンペーン(https://www.tysons.jp/news/jpn/10900)を行なっている(1人1本まで)。
今回のキャンペーンに至った理由には飲食店運営会社であると共にビール製造メーカーである同社の作り手としての思いがあるという。そこでお話を伺ったところ、以下のような回答が返ってきた。
「弊社はビール製造部門も持つ飲食店運営企業です。ですから普通の飲食店であれば、今回のような状況下でもビールを仕入れなければよいところ、ダブルで負担を強いられる状況にありますし、経営的にも大きな損失を被ることになります。もちろん、廃棄すれば酒税分は戻りますが、大切に作ったビールを捨てることは作り手として極力避けたい事態であり、辛いことでもあります。また協力金もない中でわれわれのビール製造に協力してくれている原料の麦芽やホップのサプライヤー、もっと遡れば生産者の方々が強いられている負担を考えても、なんとかして廃棄だけは避けられないかと考えました。そこで廃棄するのであれば、この状況下でわれわれの店舗に足を運んでくださるお客さまにビールをプレゼントし、ご自宅でまずは楽しんでいただく。さらには酒類提供の解除の際に改めて店舗で飲んでいただくことにつなげたいと今回のボトルビールのプレゼントキャンペーンを立ち上げました!」。
ところで同社にとって今般の酒類提供禁止の要請はどのように映っているのだろうか?
「自治体からの要請を公然と無視する飲食企業がありますが、マスクを外した状態で会話をすることが感染における最大のリスクである中では、飲食業に対する制限が行なわれることは仕方のないことだと思いますし、酒類の提供制限も理解はできます。ただ罰則金があまり高くないこともあり、酒類提供を続行している店舗も多く、お客さまもそういった店舗に流れている状態があるのも現実です。結果的に、要請に従う店舗の方が従わない店舗よりも損害を多く被る悪循環に陥ってしまっている点は理不尽さを感じますし、残念です。おそらく、今のままではこの状況が変わらない、もしくは要請を無視する店舗が増えることが予想されるので、欧米のように1組あたりの人数制限や席数制限を設定した上での解禁や店舗へ調査員を派遣し、一度でも違反を見つけたら協力金の支給停止や既に支給した分の返還請求を行うなど、違反に対する罰則金をあげることで公平性を保つ施策がなされればと思っています」。
緊急事態宣言の再延長も予想される中で店舗ではどのような対策を取っているのだろうか?
「まず店舗においては24年間の経営の中で初めて他社からビール仕様のノンアルコールドリンクを仕入れました。加えて、モクテル(編集部注:「mock(モック)」と「cocktail(カクテル)」を組み合わせた造語。ロンドン発のノンアルコールカクテルの新しい名称として認知が広がっている)メニューの開発にも力を入れ、ご来店いただいたお客さまにはアルコールがない中でも弊社のお料理を楽しんでいただける工夫をしています。また弊社ではエルカミオンいう移動型店舗を持っていますので、われわれの強みである樽詰めビールの美味しさを酒類提供が禁止されていない地域で販売し、楽しんでいただけるように稼働させることも考えています」。
筆者も同社のビールをこよなく愛する一人である。一日でも早い店舗での酒類提供禁止解除と、一本でも多くのビールが無駄になることなくお客さまに届くことを願うばかりだ。
TYSONS & COMPANY
https://www.tysons.jp/