---昨年から続くコロナ禍ですが、この1年間、御社はどういった状況だったでしょうか?
まず一回目の緊急事態宣言時は売り上げがほぼゼロになったと言っても過言ではないほど厳しい状況でした。弊社はオフィス街や商業施設など大型店舗が多いのも影響が大きかった要因です。また宿泊事業も往々にして厳しい状況です。湯河原にある「富士屋旅館」などは今冬、予約ベースで4000 万円の売り上げがあった中、GoTo の停止などが影響してキャンセルが多く入り、1000 万円台にまで減少してしまいました。
ただそんな状況にあっても昨年の感染者数が減った夏以降は徐々に回復し、11 月には黒字化にまで経営状況は復活していました。その中での二度目の緊急事態宣言ですから途方にくれる面もありますが、住宅街や郊外にある店舗は100%を切らない店舗が多くありますし、都心部でも顧客をしっかりとつかんでいる店舗は比較的好調です。中には常時よりも売り上げが伸びている店舗もあるくらいです。またラーメン、てんぷら、とんかつ、うなぎ、ピザなど扱っているものが明確で、比較的お酒の売り上げに頼らない業態は強みを見せています。
ただコロナの収束が見えない中ではいずれも油断はできませんし、不採算店舗の閉店、休業店舗の選択など採算ベースの改善も都度取り組んでいます。さらにこのコロナ禍でお客さまの中に外食に対する“選択”ということがインプットされたと思います。どこに、何を食べに行くのか? after コロナも含め、今後は“なんとなく”足を運ぶ外食は減っていくのではないでしょうか?そういったことも視野に入れながら、どうしたらお客さまに店舗へ足を運んでいただける魅力を打ち出すことができるのかを日々考えるところです。
---先だって、東京都へ時短営業協力金が大手企業にも支給されるために声を上げられました。国や地方行政の取り組みについてはどのようにお考えですか?
まず間違えてはいけないのは憎むべきは新型コロナウイルスであって、人でも政府でもありません。実際、初めてのこと尽くしの中で国も地方行政も一生懸命やってくださっていると思います。また政府や医師会の指南するコロナ対策案も理解しています。ただその中でわれわれがどう営業し、生き延びればいいのか? 夜もダメ、昼もダメ、その上補償がないでは到底、経営の存続はなし得ません。
今回、東京都への要望書を提出したことにより小池都知事が方針転換してくださいましたが、残念ながら1 月8 日にさかのぼっての補償ではなく、1 月22 日からとわれわれ大手は中小の飲食店とは違い、半分の期間しか協力金の支給がありません(編集部注:2 月8 日~ 3 月7 日については全日支給)。要請に対して迅速に動いていただいたことはうれしかったですが、一方で正直とてもがっかりしました。
昨年来の飲食店への支給の在り方は従業員数や店舗規模にかかわらず、“1 事業者”“1 店舗”という単位で、例えば店舗面積が100 坪でも5 坪でも一律の扱いです。これでは不公平感を感じる人も出てきますし、不満が膨らむのも仕方がないのではないでしょうか? 調査や事務的なことなど大変ではありますが、今後も続くwith コロナにおける経営を考えると、国や行政には企業や店舗規模ごとで助成の在り方を判断いただきたいと強く希望しています。また“ただ集まるな、外出を自粛しろ”ではなく、飲食店における標準化されたコロナマナーを発表していただきたい。
例えば一律に人数で区切るのではなく、2 人であろうと3 人であろうとグループで来店する際はお互いが相互に必ず体温を確認するだとか、家族で来店する場合も家庭内できちんと健康管理されているなどの外出におけるガイドラインです。実際に私は日に何度も体温をチェックしていますし、ちょっとでも平熱より高い日は出社しないようにしています。皆がそのように自己の体調管理をする中で外出すれば、今とは状況が変わるでしょうし、安全に外食してもらえるのではないでしょうか?