修学旅行は単なる観光目的ではないことから、さまざまな体験コンテンツを提供しうる地域において誘致が可能であり、観光産業にとっても重要なセグメントともなってきました。実施は平日に実施され、かつリードタイムは非常に長いことも地域経済への貢献につながっています。修学旅行は、現在では子供たちにとって、体験型学習を通じ、さまざまな社会的教育を受ける貴重な機会となっており、体験型学習を関係者が一丸となって実現するためにも、誘致先地域における地域住民等の協力等もおのずと求められます。昨今では、地域活性化に着目した修学旅行の在り方を追求する修学旅行実施校も見られます。
公益財団法人日本修学旅行協会によりますと、2015 年度修学旅行の全体実施率は98%(うち国内修学旅行83.4%、海外研修旅行等14.6%)、季節性では国内修学旅行の実施時期は、10 ~ 12 月に実施する学校が全体の61.9%を占め、また国公立校では10 ~ 1 月の実施校が年間全体の80.1%を占めていました。
このような修学旅行は、もちろん安全性の確保が絶対条件となり、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、大きな困難に直面しています。NHK による全国の教育委員会への調査(20 年10 月)では、回答が得られた2 万校あまりのうち、15%が中止を決定、60%が実施を決め、その多くが隣接県や県内へ行き先を変更して対応している状況がうかがえました。20 年10 月2 日には文部科学省から教育機関に向けて、修学旅行の延期を決定した場合においても修学旅行の実現に向けた「最大限の配慮」をとの通達がなされました。