外部環境の議論は、いくらしても手をつけられる範囲が小さい。
この旅館では、今、足元商圏にお住まいの方々へのささやかな余暇の充実に向けて、自分たちができることを考え実行に移しています。そして少し空いた時間を2 年後の構想にあてて、できるところから着手しています。そして、メールは次のような形で締めくくられていました。
「私たちに、今必要なのは、明るいビジョンと目標なのです。この時期を耐えしのぎ、次に来る波に乗るには、モチベーションを保つことが必要でして…。ぜひ、次にお会いする際、改装プラン動画の感想などお聞かせください。何卒(なにとぞ)よろしくお願い申し上げます」
私は添付されていた動画を拝見しました。動画には、今までアイデアを形にして取り組んできたことに対するお客さまの声と、改装の発起人の思いと、手書きで書かれた改装イメージが数枚。
そして、先に動画を見た人の感想が加えられています。タイトルは「2022の私たち、〇〇の新たな挑戦」です。
誰が何をどうしていくのか。突きつめて考えていけば、戦略はこの一点に集約されます。目先でできることは限られるかもしれません。しかし、今利用してくれている人は、何のために、どこから来てくれているのでしょう。その方たちのために、さらに、できることがないでしょうか。そういった方たちに、もう一度、確実に来ていただくための一手は打てませんでしょうか。
メールをくれた支配人は、この一点からの活路を考えています。そして2 年後のためにできることを動かしています。これから先、人の余暇を充実したものにしたいという欲求や人に会うために出かけていく行為は、なくなることはないと考えているからでしょう。
仕切ることができる空間として抽象度をあげて新たな利用の仕方の模索も考えるのも有効な一手です。付帯施設に位置付けていたものに一工夫しメインとして展開していくのも有益だと私は考えています。例えば、料飲やベーカリー機能は、生活必需品への展開をできないことではないでしょう。大切なのは、動いて、考えて、また動いてみることだと思っております。
支配人からいただいたメールに、私も励まされつつ、一緒に戦っていきます。何かを動かしてみることで、「私たちはどこに向かうべきか」と未来を考えることで、存在意義の充実の具体策を繰り出していきたいと思います。