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シジダス合同会社 ~ 社会の不安を安心に変える

国際貢献にもつながるニッチなビジネスで ホテル・レストランの人材不足問題を解決

2020年01月14日(火)
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2019年1月15日に設立、4月1日から業務を開始したシジダス https://cijidas.jp/ は、日本でのインターンシップを希望するフィリピンの学生と、研修生を求める日本企業の間をつなぐ事業を展開している。フィリピンは年間1000万人が国外に出て仕事をし、289億ドル(約3兆2000億円/2018年)を家族に送金するという流れを構築している。送金額はGDPの約10%を占め、フィリピンの国内の経済を支えている。中でもサービス業はフィリピン人にとって花形産業であり、サービス業に長けた国民性を持っている。

(プロフィール)
代表:内海勝統(うつみ・かつのり)氏
1985年㈱テンポラリーセンター(現㈱パソナ)入社。88年㈱ジンテック創業、代表取締役就任。90年日本初の新卒採用向け企業説明会動員テレマーケティング「リクルートダイヤル」をスタート。93年世界初の電話番号クリーニングシステム「TACS」を開発。国内および海外(アメリカ・中国・台湾・EC諸国ほか)に特許取得多数。95年世界初の電話番号による与信システムをスタート。銀行、クレジットカード、生命保険、通信販売など百数十社と取引。2002年有線電気通信法第13条2項逐条事項に電話番号クリーニングが合法であることが明記される。04年世界初の電話番号による AI与信システム「UZMIC」を開発、特許取得。19年シジダス合同会社を設立、代表に就任。現在に至る。 

インターンシップのニーズとシーズは フィリピンと日本の間で深く合致する

 
 フィリピンの大学のうち約350の大学にホテル・レストランマネージメント学部(HRM学部)でホテル業、レストラン業のマネージメントを学ぶことができる。同学部の学生は卒業後、国内外のホテル、レストランに就職することを目指している。その夢を叶えるための基礎教育を徹底して行なう同学部では、3年生までに単位を取得し、4年生の1年間は語学の習得と国外でのインターンシップを含む実地研修に充てられる。大学のカリキュラムの中でインターンシップは卒業のための必須単位となる。学生の卒業後の目標は国外のホテルやレストランで仕事をして、学費を捻出してくれた家族や親戚に送金することにあるため、学生たちは大学卒業に向けて真面目に研修に取り組むことになる。
「こうした背景から、インターンシップにまつわるフィリピンと日本の間のニーズとシーズは深く合致することになります。そのことから、私たちはフィリピンと日本を結ぶインターンシップの仕組みを整えたのです」とシジダス代表の内海勝統氏は解説する。
 ホテル、レストランを含む日本のサービス業は深刻な人手不足によってホテルの部屋の一部を絞めたり、レストランの営業時間を減らしたり、ビジネス機会の損失を生み出している。そこで海外からのインターンシップを活用し、現場に欠けているピースを埋めることで状況の改善につなげていくという発想も経営者に求められている。
「シジダスはあくまでも研修会社であり、労働者を紹介しているわけではありません。フィリピンの学生側から見れば、大学で学んだ高級ホテルの仕事に関する知識を日本の現場でもう一度体験し、確認できるというメリットがあります。日本のホテル、レストラン側からすれば、人手が不足している部分を研修生がフォローしてくれる形を作れます」
 

新しい研修生をまとめるチームリーダーを ホテルが持つことができる構造を創る

 
 インターンシップには、3カ月以内の無給のカリキュラムと3カ月以上の有給のカリキュラムがある。入国管理局の手続き上のハードルもあることから、今のところシジダスでは、基本的に3カ月の無給のインターンシップに限定して展開している。来日後は研修生にインターネット上でレポートを書いてもらい、その内容はシジダスとフィリピンの大学が毎回チェックしている。何か困っていることがないかなどを確認し、報告書を提出するためだ。
内海氏はニッチなマーケットでシェアを独占的に獲っていく方法論で事業に取り組んでいるという。ホテルの中でもバックヤードの仕事に絞り込み、そこにフィリピンからの研修生をマッチングさせていくというニッチなマーケットを確実に押さえていくことが大きな目標となる。
「多くの人たちのマーケティングの筋道は、業界の大状況を見るところからスタートしています。私の場合は逆で、いつも現場からのクレームや不満といった情報を分析するボトムアップの発想で、実際に困っていることから解決に結び付けていくやり方を考えているのです。問題を解決すれば、困っている会社に必ず買っていただけると信じています」
 インターンシップ終了後にフィリピンに帰国した学生に対して「あの人は優秀だから引き続き働いてほしい」というホテルからの要望はよく出てくるという。特定技能についての二国間協定は日本とフィリピンの間でも締結されているので、特定技能1号能力検定試験を受けて宿泊業の資格を取得すれば、大学卒業後に再度日本で5年間の特定技能人材として働くことができる。
「実際に卒業後に日本に来て働き始めた人は、フィリピンの研修生を現場でまとめるチームリーダーとして5年間仕事を任せられる人材となります。3カ月ごとに入ってくる新しい研修生を指導、教育してくれる存在をホテルが持つことになるのです。そういった構造を創る役割もシジダスは果たしていきます」
安心・安全・快適さを担保しなければならないホテルにとって、ホテルのマネージメントに関する教育を受けているフィリピンの研修生をつなげてくれるシジダスのビジネスはしっかりとフックするだろう。

ホテル・レストランを学んできた研修生は 客室清掃、調理場の両方の仕事に入れる


「たとえば客室清掃でホテルが人材を採用した場合のコストと、シジダスを通してインターンシップを活用した場合のコストを比較すると、後者の方がコストを抑えられます。人手不足の状況から客室清掃の派遣人材では時給2500円以上、アルバイトに於いても2000円近くまで上昇しています。募集活動のストレスから解放され、安定的安価に予算化できる弊社のシステムは検討の余地があると考えています。しかもフィリピンの大学でプロとしての専門の勉強をしてきた学生たちであり、決して素人ではないというメリットもあります」
 ホテル・レストランマネージメント学部の学生は、客室清掃も調理場も両方の研修業務を希望し、その能力のある二刀流の人材と言える。フィリピン側も1日8時間の枠内でどんどん研修させてほしいと要望しているので、ホテルにおけるすべてのシーンで一定の範囲内で活躍してもらえる存在は、通常のアルバイトを雇うよりもメリットを感じることができるはずだ。
「少し風呂敷を広げさせていただくと、インターンシップで憧れの日本に来て、志望している仕事を実際に体験して、その上でフィリピンに帰国するという構造を提供するシジダスの取り組みは、国際貢献活動になっていると考えています」
 この構造の中で研修生を受け入れるホテル、レストランは契約を結んだ上で、「将来のエリートを育成している」という高い意識のもとで受け入れているからだ。フィリピンのエリートの卵たちに日本に関する正しい知識を体得して帰国してもらうこの仕組みは、日本政府が目指す二国間の相応の互恵関係を形成することにも役立つだろう。
「フィリピンでホテル、レストランのプロとしての基礎教育を受け、日本で実技研修をして、特定技能の資格を取得した人材のデータベースは毎年何百人分ずつ蓄積されていきます。そのデータベースを活用した次のフェーズのビジネス展開は、将来的に新しい形でホテル、レストランをはじめとする日本のサービス業に貢献していくことになるでしょう」
 人材不足に悩み続けるホテル、レストランに光明をもたらすシジダスのビジネスモデルは、新しい人材サービスの在り方を構築するための1つの入り口として、その価値をますます高めていきそうだ。

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