土地代や建築資材費、人件費の高騰によってホテル開発費用が高騰する中、ホテル開発の一つのトレンドとして浮上しつつあるのがトレーラーハウスを活用したトレーラーホテルだ。トレーラーホテルは税制上のメリットなど一般的なホテルよりもメリットが多くある一方、他社との差別化が難しいという点もある。それをAIを活用したホテルサポを導入することにより滞在経験を向上させ、チェーン展開を構想しているのが㈱BSプロパティマネジメントだ。
富士山駅前という好立地にトレーラーホテルを建築中
その周辺の地域に年間延べ約5000万人、入山シーズンの2カ月間だけでも約500万人が5合目まで登り、登頂者は約30万人と言われる富士山。日本を代表する富士山の麓にある富士山駅の前に2025年2月、BSプロパティマネジメントが手掛けるトレーラーホテル「Cool stay & Smart dining "Inn The Fuji"(仮称)」が開業する。
同ホテルの特徴はトレーラーホテルの文字の通りトレーラーハウスの客室15台とフロントハウス1台からなるホテル。各客室はウッドデッキやサウナ、水風呂を備え、高い居住性と好立地を武器に富士山周辺の観光需要を取り込む。
㈱BSプロパティマネジメント 代表 鬼木康男氏
「BSプロパティマネジメントはその社名の通り不動産の資産価値の維持・向上をオーナー様に代わって支援をする事業が本業ですが、この度新規事業としてトレーラーハウスを活用したトレーラーホテル事業に参入をすることになりました。
私は以前ホテル投資アドバイザリーなどホテルの不動産関連のコンサルティングを手掛けていたのですが、昨今ホテルの需要は高い一方でホテル開発は土地代、建築資材、人件費の高騰のほか、以前はなかった工事の遅延による開業の延期、建築品質の低下など、新規開発のハードルが非常に高くなっています。
そのような環境の中でトレーラーホテルは減価償却や固定資産税など税制上のメリットがありコスト面で優れているほか、トレーラーハウス自体を工場で作りますので人材不足による工事の遅延や建築品質の低下といったリスクもなく、立地は選びますが十分な事業性があると考えました。ちょうど富士山駅前の好立地に土地を得ることができたため、今回の開発に至りました」(BSプロパティマネジメント 代表 鬼木康男氏、以下同)。
建築中のホテル現場。トレーラーの奥には富士山頂が見える。
ゲストの滞在経験向上に向けホテルサポに大いに期待
一方、開発コストや税制上のメリットといった利点はどの事業者にも等しく、新規参入も着実に増えている。当然既存ホテルとの競争もある中で、他社とどういうポイントで差別化をし、顧客評価を得るなどして収益性を高めるかはホテル経営において重要なポイントだ。
「先程の開発や投資回収の話は別として、営業面での収益性を高めるためには先にお話をしたように好立地であることは大きなポイントです。
さらに、運営の中でお客さまの滞在経験の向上を考えていた時に出会ったのが『ホテルサポ』を提供するAlisの志強社長でした。今回新規トレーラーホテルが開業する富士山周辺地域はインバウンドが増えていますし、海外からのゲストが期待できることを考えるとホテルサポの機能は滞在経験の向上にも貢献すると考え、採用をすることを決定しました。また、私自身のこれまでのホテル投資含めたホテル業界関連での経験からアプリをダウンロードするのではなくQRコードでアクセスすることでサービス利用が可能になるなどアドバイスもさせていただき、よりゲストが使いやすいものになるよう私たちも協力をしています。
現在、日本各地で新規ホテルが開業しており人材が奪い合いの状況の中で、スキルのある人材が十分におらず、また、少ない人数でのオペレーションでもホテルサポのようなサービスがあればゲストの滞在経験を向上させることもできますし、その点においてホテルサポには大いに期待をしています」。
独自のインバウンド集客の仕組みは独立系ホテルには魅力的
Alisの提供するサービスで、ホテルサポと同様の技術を活用しながらもほかのパートナー企業では見られない独自の集客の仕組みにも鬼木氏は期待を寄せる。
「アリスさんが提供しているAIを使った即時翻訳機能で、日本語と中国語や英語など違った言語を話す人同士でもスムーズに商談ができる仕組みは魅力的ですね。今後インバウンドの獲得は私たちホテル運営企業にとって重要なテーマである一方で外資系大手チェーンの用に独自のネットワークを持っていませんから通常は海外系のOTAにその集客を頼らざるを得ず、また、その低くない手数料は常に経営上の悩みの種です。
また、海外の旅行会社もアリスさんが多くの旅館やホテルとつながっていればさまざまな選択肢を旅行者の方に提案できるので魅力的に映るはずです。
現在アリスさんのサービスを採用するホテルや旅館は着実に増えているようですし、その点も期待をしています」。
ユニークな立地も含めて立地重視で展開を構想
「今後の展開に関しては先ほどもお話をさせていただきましたように立地が重要な要件となってくると考えています。
立地と一言で言っても色々と可能性が広がると考えていまして、今回のように富士山駅の駅前というアクセスに強みのある立地だけでなく、トレーラーホテルだからこそというような山の中腹や山頂にある景色の良い立地、すでにやっているところもありますが森の中でグランピングのようなスタイルでやったり、実現できるかはわかりませんが、銀座のような街の中でビルが建てられないような狭い土地でやれたら面白いですよね」。
㈱BSプロパティマネジメント
https://www.bs-pm.com/
※ホテルサイトは現在準備中
Alis 「ホテルサポ」
https://www.hotelsapo.com/