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第8 回 Part3 中村勝宏プレゼンツ ~美味探求~ 

第8 回 Part3 日本ホテル株式会社 特別顧問統括名誉総料理長 中村勝宏 氏 ×  ナベノイズム Nabeno-Ism 渡辺 雄一郎 氏

【月刊HOTERES 2019年02月号】
2019年02月08日(金)
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日本ホテル株式会社 特別顧問統括名誉総料理長 中村勝宏氏
ナベノイズム Nabeno-Ism 渡辺 雄一郎氏

はじめに
十六名の食のエキスパートと対談をした前回に続く第二段として、新しい視野の元、敬愛する方々との対談を行なっていく本連載。第8回の今回はレストラン Nabeno-Ism(ナベノ- イズム)の渡辺 雄一郎氏にご登場頂いた。

 
世界中のロブションのメニューに
自分の料理が
 
中村
 ロブション門下生として働いていた方は、たくさんおられるでしょうが、ロブションさんの真髄をその現場で責任者の立場で直に、くみ取りながら働けた人は少ないでしょう。日本人としては河野さんや渡辺さんが、その代表者で、実に立派で先程から話を伺い、うらやましい気持ちにもなります。
 
渡辺 実際、自分が作った料理を試食していただくこと自体が、とても貴重な体験でした。手放しで喜んでくれた料理、例えばロブションさんから各国に発信された甘鯛の料理があります。鱗付きで焼いて、百合根とゆずのナージュソースを作ったんですけど、ロブションさんの料理の歴史上、鱗付きの魚料理はありませんでした。
 
中村 あれは、もともと京料理の代表的な調理方法ですね。
 
渡辺 まさにムッシュのおっしゃる通りの、松笠焼きであったり、若狭焼をヒントにしました。試食として恐る恐る作って出したとき、怒られるのかなあという覚悟もありましたが、結果的に、絶賛していただきました。
 
中村 やはりロブションさんは、料理人として、どこにいっても常に何かを求めておられたと思います。そこで渡辺さんが作った、今まで経験したことのない料理がでてきて。これはすごいと率直に認めてもらえたということですが、それを認められたロブションさん自身が素晴らしい人だなあと思います。
 
渡辺 そうなんです、ですからそのとき本当にびっくりしましたし、うれしかったです。カフェフランセ時代から、何品かそういう料理はありましたが、でもやはり僕の中では、甘鯛が一番です。そして一時期、僕のことを「ワタナベーッ!」じゃなくて「アマダイッ!」と言われてました(笑)。
 
中村 (笑)まぁそれだけかわいがられたというか、認められたということでしょう。先ほどから聞いていて、いいことだなと思うのは、ロブションさんが来られたときに渡辺さんが自分が作りたいと思う料理を出していたんですね?
 
渡辺 はい、そうさせて頂いておりました。待ち構えて自分なりにいろいろと試作しておりました。
 
中村 そこがすごいなと思うわけです。やはり常にチャレンジ精神があってこその進歩だからね。
 
渡辺 当時フランスから、全部持ってくるメニューもあります。でも後期の方は、「ワタナベーッ!」って呼ばれて、あれとあれとあれとで一皿作ってくれないか? って言われていました。
 
ガラディナーは原価にお金をかけられるので、板状にカットしたフレッシュトリュフをピエドポーとファレスをカノンにしてぐるぐる巻いて、ローストしたものなど、手放しで喜んでいただき、ロブションさんのガラディナーの世界発信のメニューになったのも多くあります。
 
もちろん僕の名前は一切出ませんけども、現場のスタッフが「やった!シェフが考えた料理が世界に旅立ったぜ!」みたいな感じで結構盛り上がりました。良い料理を作ってだすと、ロブションさんが「ルセットを用意しておいてくれ」と、言ってくれます。そしたらみんな、よっしゃ!やったね!っていうことになります。
 
中村 いいなあ、素晴らしいね。そのときの雰囲気がなんだかそのまま伝わってきます。実にやりがいのある、貴重な時期だったと思います。
 
渡辺 はい、貴重な時間でした。ロブション時代にはそういった思い出がいっぱいあります。あと、もう一つ忘れられないのは、辞めさせていただくことをお伝えしたときです。
 

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