土地とともに歩んできた歴史の深み
2014 年にユネスコ世界遺産に指定された北イタリア、ピエモンテ州のワイン生産地、ランゲ ロエロとモンフェッラート。ロエロ地区はアルバ市の横を走るタナ川の北側に位置し、ランゲ地区が海面に浮上した後、およそ500 万~ 258 万年前(新第三紀鮮新世)にこのロエロ地区が海面に浮上したと言われている。砂岩に由来する堆積岩と、柔らかく水はけが良い土地が土壌を構成している。ミクロクリマと多様な土着ブドウ品種、生産量の制限、そしてこの土壌との相互作用により、品質が高く、多様な味わいのワインが産まれるのがこのエリアだ。砂質が多い土壌では香りが華やかでエレガントな味わいのワインが、そして砂質が海洋性石灰質と混ざり合う土壌では力強い味わいのワインが産まれる。
敷地内の東の丘に大きな石膏があることから、“ 石” を意味するケルト語の「CAR」に由来して名づけられたと言われているテヌータ カレッタ。古い歴史書(アレッサッドロ ロエロ公爵による1878 年の財産土地見取図)では、このテヌータ カレッタが1467 年から存在をしていたことが確かに記述されている。さらにさかのぼると、ローマ時代から使われていた道に囲まれた三角形の敷地がサンジュリアーノと呼ばれた13世紀、貴族間でこの屋敷をめぐる争いが続いた。歴史的資料によると、1461年11 月28 日にピオーベズィー城にて、ダミアーノ侯爵に所有がわたることが正式に表明された。ピオーベズィーの領主であるアンドレア ダミアーノ侯爵は、ジャコミーノとピエトリーノ ポッリーノというコッラード兄弟を農園主として9 年間、この敷地でのブドウ栽培や屋敷の管理を任せたという。テヌータ カレッタがランゲとロエロに根付いてきたワイナリーとしての深みがここにある。