過去の販売実績をチェック
筆者はコンサルテーションを行なう場合は、1週間に一度、15 分程度の聞き取りを実施します。
まず、過去1週間の実績と予算/フォーキャスト(対Fと書いてあるもの)をチェック(数値は加工しているので多少差異はあります)。最も問題が出やすいのはコンサルテーションを始めた初期なので、サンプルとしてコンサルテーションを始めたばかりのデータを引用しています。
この週は合計で見ると対予算/対フォーキャストともによい数字が出ています。また、大きなズレもないように見えます。しかし、7 月13 日(金曜)の対予算/対フォーキャストのズレが気になります。これこそが日別予算/日別フォーキャストの重要性になるのです。
期間でまとめてしまうとプラスマイナスで合計ではよい数字になっても日別で見ると問題をはらんでいる可能性が高いのです。この日のフォーキャストの精度を確認するためには、まず7 月13 日の30 日前にさかのぼる必要があります。その時点にさかのぼることで「どんな資料を見てこのようなフォーキャストにしたのか」を探る必要があるからです。そこで業務日付を遡って6 月13 日時点のブッキングカーブを見てみます。右側が6 月13 日のオンハンドの室数で、左側部分が6 月13 日の需要予測による予測数値です。このように「当時の状況に戻る」ことを「データの可塑性」があると表現します。そのデータで見ると、当時の需要予測では満室に近い数値になっていました。そして、実際にはこの日は満室に近い客室数を販売しています。ところが、予算もフォーキャストもかなり低く積もられてしまっていたわけです。
このホテルは、ビジネスホテルなのでいつも金曜日は弱いとのことで低く見積もっていたようですが、実際は海の日を含む三連休の前の金曜日という特殊要因がありました。通常の需要にプラスしてレジャーユースも影響している可能性もあると言えます。この日は「金曜日はいつも弱い」という先入観とレベニューデータの出す数値を軽視した結果ではないか、という指摘につながるのです。
さらに、このブッキングカーブを見て問題に感じたのは、二人売りの弱さです。金曜日ですので、ビジネスのみではなく二人利用のレジャーユースがもう少しあってもよいのかもしれません。