■メキシコの主なワイン産地は五つの州
セミナー冒頭ではカルロス・アルマーダ駐日メキシコ大使がスピーチ。メキシコワインの品質向上に太鼓判を押すとともに、市場拡大への期待を述べた
メキシコによって日本は第2 位の輸出先
主要生産地5 州で80%を生産
30%を日本に輸出
従来で言うところの「ワインベルト」(北緯30 ~ 50 度と南緯20 ~ 40 度)よりわずかに赤道寄りに位置するメキシコでの人為的なブドウ栽培は1524 年、スペイン人がブドウ畑を委託栽培する法令に署名がされたことをルーツとしており、1574 年にはアメリカ大陸で初めてのワイン生産が行なわれたという。1595 年には栽培面積がスペインを上回るようになり、時の国王フェリペ2 世が畑の拡張を禁じたほどに、ブドウ栽培とワイン造りは拡大していった。近代のワイン造りでは、1888 年に国内初のワイン商社がバハ・カリフォルニア州に設立され、1920 年には国立ワイン醸造家協会(ANV)が設立。今日のメキシコ最大のワイナリー、ラセット(ラチェット)社がワイン生産を開始したのが1928 年である。
メキシコにおけるワインづくりは、バハ・カリフォルニアとケレタロ、コアウィラ、サカテカスの4 州が主な産地で、アグアスカリエンテス州も評価を高めている。特に最北のバハ・カリフォルニア州は、海抜300 ~ 400m で西海岸から15㎞という立地を好条件に、70 のワイナリーで国全体の80%を生産している最大の産地だ。ケレタロ州は昼は25℃、夜は0℃という極端な気候で短い栽培サイクルでもブドウの糖度が増し、酸味のバランスの良いブドウが採れる。海抜2000m にはこの地域最大のワイナリー「カバス・デ・フレシネ」が存在感を示している。アメリカ大陸最古のワイナリー「カーサ・マデロ」があるのはコアウィラ州だ。冬は寒く、夏の日差しはあるが気温の大幅な変動がないためブドウはゆっくりと熟していくのがこの地域の特徴だ。
これらにグアナファト州を加え、全国でおよそ2 万㎘を生産しているメキシコのワインは51%を米国に、30%は日本に輸出されている。日本とメキシコの間では2005 年から経済連携協定で関税が撤廃されたことも背景に増加が続いている。ほかカナダや英国など15 カ国以上に輸出して金額にすると720 万ドル、2013 ~ 17 年で12%の成長が見られるのがメキシコのワイン市場だ。
ゲストへの新たな選択肢に
メキシコワインの歴史と経済、2 国間の友好
メキシコ国内でのワイン需要も高まり、関連イベントも増加している。同国では収穫祭が7 ~ 9 月に行なわれているが、7 月13 日と14 日に行なわれたメキシコワインのPR イベントにも85社のワインメーカーが集まった。
日本とメキシコは1888 年に日墨修好通商航海条約に署名して以来、130年にわたる友好関係を発展させてきた国同士でもある。また2017 年には日本人のメキシコ移住120 周年を迎えていた。日墨EPA の発効やメキシコの経済発展にともない、1182 の日本企業がメキシコに進出しており、特にバヒオ地域への進出は2011 年に87 社だったのに対して現在では632 社と急増している。
過去5 年で世界のワインコンクールで1500 の賞を獲得したメキシコワインを、ゲストへの新しい選択肢として提案してみることも、考えてみてはどうだろうか。