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ドゥレッロが引き出すワインの愉しみ スパークリングのさらなるチョイス

【月刊HOTERES 2018年09月号】
2018年09月21日(金)
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左から、「ZAMBON」のドゥレッロは火山性土壌であることを明確に感じさせてくれる。「ジァンニ・テッサリ」の60 カ月熟成(2010 年)、「フランケット」はクリアな味わいに洗練された発泡が印象的。「ジァンニ・テッサリ」の120 カ月熟成(2006 年)はブドウ品種デゥレッラの熟成を存分に味わえる。「トネッロ」からは香りから余韻まで、ワイン造りにおけるバランスの良さが分かる


ドゥレッロの生産者「フォンガロ」の畑

 
ソアーヴェに隣接した、
海底火山エリアのスプマンテ
 
 メニューを見ればシェフの頭の中が分かる、ビバレッジリストを見れば、その店の飲料担当者の思考が分かるとはよく言われるが、スパークリングワインの選択肢に、秋や春の味覚と調和する産地をリストしてみてはどうだろうか。
 
 イタリア北部、ヴェネト州はヴェローナから北東に約30㎞の丘陵地帯には、長期熟成に対する適正の高さが再評価されている土着品種と、そこで造られるスプマンテがある。「レッシーニ ドゥレッロ」(Lessini Durello)もしくは「ドゥレッロ レッシーニ」(Durello Lessini)と呼ばれるDOC だ(以下、ドウレッロ)。ソアーヴェに隣接したこの地域は、生態系が保護されているモンティ レッシーニ自然公園の存在もブドウの品質に良好に作用している。ドゥレッロは1988 年にDOC に認定を受けた後の2011 年、当時のドゥレッロがモンティレッシーニDOC に改称すると共に新しく認定を受けた産地だ。ヴェローナとヴィチェンツァの間、高低落差が800 mある丘陵地は古くは海底にあった場所であり、4500 年前に海底火山が隆起してこの土地が形成されたことは、この近辺で採掘された多くの化石が物語っている。
 
 この地の多くは急斜面で、火山性玄武岩の粗い砂利が覆っている。100 ~ 140㎝の中層は玄武岩の岩でできており、深層部は弱酸性から中性の砂利質だ。
 
 ローマ時代から行なわれていたというブドウ栽培では、“ 皮が硬い” を語源とする「ドゥロチヌス」という名前のブドウが関係しており、また1292 年の地元資料には「ドゥラセーナ」という品種が普及していたことを根拠に、今日のこの土地のブドウ「ドゥレッラ」のルーツではないかと言われている。ドゥレッロDOC のアイデンティティーでもあるのがこのブドウだ。
 
 小ぶりで果皮の硬い、コンパクトなこのブドウは適度な傾斜地を好むモンティ レッシーニの土着品種として1000年にわたりこの土地に適合し続けてきた。その総酸度の高さが長期熟成に耐え、スパークリングワインとしての評価を高めている。
 
 ドゥレッロのスパークリングワインには、ドゥレッラを85%以上使うことが必要で、残り15%はシャルドネやガルガーネガ、ピノビアンコ、ピノ・ネロも使用できる。醸造方法は加圧タンク(アウトクラーヴェ)でのシャルマ方式あるいはメトードマルティノッティ方式(タンク内二次発酵)か、36 カ月以上の瓶内二次発酵が認められている。この地域で瓶内二次発酵への傾倒が感じられるのは、地域とブドウの特性、加圧タンクの設備コストを鑑みると当然の流れのようだ。皮が硬く酸が強いドゥレッラ種のワインは長期の熟成が必要だという側面も確かに存在する。

そのフォンガロはすべてのワインをメトー ド クラシコ(瓶内二次発酵)で生産する
3 代目のマッテオ・フォンガロ氏は、自社のワインを高級店に出荷する戦略を打ち出す
フォンガロのボトルで左は補糖をしないパドゼ、そして辛口のブリュット
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