ドゥレッロの若手生産者たち。左から、ジュリア・フランケットさん、ディレッタ・トネッロさん、ヴェラリア・テッサリさん、フェデリコ・ザンボン氏。それぞれが郷土の歴史やブドウに共感・共鳴しながらワインを造っている
次世代を担う若手が造るスプマンテが
ワインリストの独自性を高める
レッシーニ ドゥレッロDOC ワイン保護協会に加盟するワイナリーは26 ある。それぞれが地域の歴史や土地の特徴、また土着品種でありこの地のアイコンであるドゥレッラ種をはじめとしたアイデンティティーを共有したワイン造りを行なっている。その中でもマーケットを北イタリアに限定せず、海外へのドゥレッロの認知拡大と、独自性の高いスプマンテの展開に努めているのはこの地の若い世代の生産者たちだ。
ザンボン(Zambon)3 代目のフェデリコ氏は31 歳。タンク内二次発酵も行なうが、熟成には規定よりもはるかに期間を設けるほか、試験醸造にも熱心で施設内には小型のタンクが並ぶ。火山性土壌をストレートに感じさせてくれるワインが特徴的だ。
同じく3 代目のディレッタさんは、トネッロ(Tonello)のワインを飛躍させる。ソアーヴェDOC などスティルワインも造るが、土地の独自性をより強く発信するためにドゥレッロに注力する。
フランケットもソーアヴェとドゥレッロそれぞれに生産するワイナリーだが、どちらもクリアな味わいで発泡のきめの細やかさが心地よいワインを造る。栽培、醸造ともに環境保全にも力を注いでいる。
ジャンニ・テッサリーは妻と娘、ヴァレリアさんによるワイン造りの中で、長期熟成に活路を見出す。そのラインアップの中には10 年(120 カ月)の超長期熟成もあり、ドゥレッラ種の熟成への適正と可能性をより大きく膨らませている。
そしてフォンガロのマッテオ氏は、瓶内二次発酵のみ、海外市場への展開を推進する一方で、栽培と醸造、熟成、そして品質保証を徹底するための地道な努力を怠らない。ボトルへのナンバーリングやパッケージングなどで高級店やギフト需要も高まっているという。
確かな酸、そしてかすかな苦みの余韻が味わいをより引き締めてくれるドゥレッロのスプマンテ。シャンパーニュやフランチャコルタではない、カバやプロセッコにもない味わいは秋のキノコや春の山菜にも見事に調和する。ほかに類似しないスパークリングワインは、ゲストからワインへの興味をより引き出し、顧客とのコミュニケーションを生み出すサービスツールにもなる。
Zambon のディスプレイにはこの地域の土壌が施されている。味わいながらこれを見れば、火山性の黒玄武岩から育まれたドゥレッラ種によるスプマンテであることが容易に実感できるだろう