左のKOMASA GIN、右のKOZUE ともに各地のボタニカルを用いて見事にその土地を表現したクラフトジン。製品を通して伝えたいメッセージが明解だ
国産ジンの個性、より明確に
国産ジンのブースもそれぞれに個性を発揮している。鹿児島の小正醸造㈱による「KOMASA GIN - 桜島小みかん-」は、焼酎造りのバックボーンにみかんの中では世界最小と言われている桜島小みかんを用いたさわやかなもの。和歌山で焼酎「富士白」を造る中野BC ㈱はクラフトジン「槙-KOZUE-」のボタニカルとして使用しているコウヤマキ(高野槙)の香りを漂わせて独自性を発揮していた。沖縄のまさひろ酒造㈱は、琉球泡盛を確かに感じさせる「まさひろ OKINAWA GIN」が注目度を高めている。そのほか、本坊酒造㈱は「和美人」(WA BI GIN)で長年にわたる焼酎、ウイスキー造りに裏付けられた上質さを、広島の中国醸造㈱はすべてのボタニカルを広島で調達したジン「桜尾LIMITED」が関心を集めていた。
近年の急激なアイテム数の増加に、バーテンダーでさえその動向を追いきれないという声も聞く。一方で、それぞれのジンに酒造りの哲学や信条が感じられるようになってきた。バーやラウンジ、レストランでも、単に品揃えを豊富にするのではなく、おのおのの店舗に合うアイテムを見つけ、ゲストに伝えることができるだろう。ジンブームは成熟し、新たなステージに入ったのではないか。
ヘンドリックスジンのアリー・マーティン氏