株式会社アーバンマネジメント
常務取締役 講師統括マネージャー
松浦 誠
(プロフィール)
1983年2月大阪生まれ。
ホテルでの仕事にあこがれ、アメリカ・シアトルへ留学。帰国後ザ・リッツ・カールトン大阪へ入社し、レストランサービス業務にたずさわる。順調にキャリアを重ねる中、29歳のときに脳梗塞を患う。失意の底に沈むも、兼ねてよりお世話になっているお客さまからの紹介で、㈱アーバンマネジメントへ講師として参画。以後毎年2000名を超える受講者が参加する研修は、業態を問わず、人と接する喜びを体感し、自己表現を養うことで人生の質を向上させ、売上向上・離職率低下という成果につながると高い評価を得ている。
ホテル勤務時代のお客さまからの言葉「あなたのホスピタリティを後世に残してほしい」を胸に、日々人生をかけて、プロフェッショナルに必要な感性を伝える。
◆はじめに
週刊ホテルレストランをご愛読のみなさま、初めまして。この度本誌にて連載をさせていただくことになりました、㈱アーバンマネジメント松浦誠と申します。今週号より「人材育成において大切なこと」という大きなテーマを設け、その基礎となる視点、人材が定着する組織文化を創りあげるための方法や考え方、コミュニケーションにおいて大切な知識、すぐに試したくなる体験ワークなどを、実例を交えながらお伝えさせていただきます。また毎年2000名を超える受講生を持つ研修講師として、私が持つ経験や体験を実際のエピソードなども交えお伝えすることによって、読者の方の職場や周りの環境をより良くしていく一助となりたいと考えております。
〜問題が起こらないのは不自然〜
人材育成の研修をするようになると、現代の社会、企業が抱えている「人」に関する悩ましい問題に触れ合う機会が多くあります。
少子高齢化と人口減少による労働力減少の影響から、優秀な人材確保が難しくなり、採用できたとしても、働き手は多くの情報から取捨選択を行ない、職場に留まるか、それとも去るのかを即断します。
その中では、世代間に生じる価値観の相違や常識の違いに振り回され、コミュニケーションをとること自体が負担になってしまうということが起きています。人間関係で問題が起こると、業務に支障が出るだけではなく、特定の個人や環境にストレスを感じるようになり、その後の関係性を保つことが難しくなってしまう。そんな「負のスパイラル」へと陥ることがあります。
ここでポイントですが、人間関係で問題が起こるのはダメなことなのでしょうか。
私はそうは思いません。なぜならば、自分と全く同じ価値観を持つ人など、この世に存在しないのです。家族でさえもそうです。みんな価値観や常識、時代背景が異なっています。つまりそこに人がいて「問題」が起こらないことの方が、よほど不自然だと言えるのです。だから「負のスパイラル」に陥らないためには、問題が起きないようにするのではなく、互いが価値観や常識の違いを受け入れようとする努力を行なっていかなければならないのです。