目先の費用対効果にとらわれない取り組みが
さまざまな付加価値を生み出す
このコンテスト実施のために、直接的な費用のほか、本社スタッフの時間、各現場でのスタッフの練習のための時間や、それをサポートするホテルスタッフたちの時間など、コストを考えれば莫大なものとなっている。目先の費用対効果だけを考えるのであれば、このようなコンテストの実施は不可能であろう。
しかし、CS向上に対し積極的に取り組む同社の姿勢は、全社的なCS向上(意識含む)のほか、さまざまな付加価値を生み出していると感じた。
付加価値①
各ホテルでの団結力強化、基本の再確認
コンテスト出場者は事前に各ホテル内で多くのスタッフの支援を受けながら練習を積み重ねている。その結果ホテルスタッフの団結力を強固にするほか、日常的な業務の中で忘れがちな細部にわたるまでの基本を学び直す(練習を通じて支援するスタッフも学ぶ)絶好の機会となる。
また、応援ビデオ制作の過程でもホテルスタッフはもちろん、パートナー企業との関係性も強化される。
付加価値②
全国に散らばるチェーンのスタッフが一体となる
前述の通り同コンテストには出場スタッフだけでなく応援スタッフなども全国から駆けつける。もちろん全スタッフが参加できるわけではないが、全国に散らばるスタッフが一堂に会する希少な機会となる。ホテルビジネスは24時間365日営業のためチェーン間のスタッフ同士が交流する機会はチェーンによっては全く無く、仲間意識が薄れがちなのが現状であろう。それを補い、お祭り的な雰囲気も相まって同コンテストは仲間意識を高める絶好の機会となっている。
付加価値③
企業文化の醸成
どのホテル企業にとってもCS(顧客満足)は重要であろうが、紙に書いて掲げているだけではスタッフの意識は簡単に変わるものではない。コンテストを通じてCSへの取り組みを定期的、継続的に取り組む姿勢、そしてそれを出場スタッフのサポートや応援ビデオなど全スタッフがかかわる仕組みを実現している結果、CSに対する意識という企業文化が年を重ねるごとに醸成されていく。
また、そういった姿勢に憧れて同社に興味を持ち、新卒もしくは中途で入社するスタッフも少なくないという。それが同社の急成長を続けるにもかかわらず採用と接客クオリティ両面の維持を実現できている一因とも考えられる。
競争激化する市場の中、
強固な企業文化を持つ企業は強い
宿泊市場は急増するホテルや簡易宿所などの新規供給のほか、民泊も加わり、競争は激化している。ホテルが立地と価格だけで選ばれるのか、それとも、ゲストの心を掴み、“個”としてそのホテルがゲストから指名して選ばれるのか。その差に、スタッフの要素が大きくかかわっていることは明らかである。
費用対効果を可視化するのは難しいけれども、大切であろうことにどこまで企業として投資ができるか。これが激化する競争の中、着実な差を生み出すことは間違いない。
懇親会は全国のスタッフが久々に顔を合わせて交流を深める 場として仲間意識を高める絶好の機会となっている
グッドスマイル賞
左右田 亜紀氏(岡山)
中島 伸悟氏(仙台)
楊 雨薇氏(後楽)
水野 隼太郎氏(名古屋)
井上 裕太氏(京橋)
金丸 英美氏(東京芝)
加藤 涼子氏(銀座第三)
長野 ひかり氏(汐留)
グッドホスピタリティ賞
犬伏 由美氏(千葉)
村田 真理氏(四谷)
芳野 翼太氏(柏の葉)
駒沢 拓也氏(札幌)
グッドコミュニケーション賞
石川 穂乃花氏(京都新町)
平田 有希奈氏(広島)
冨樫 史香氏(京都四条)
上田 宏平氏(京都三条)
宋 智恩氏(大阪淀屋橋)
中川 まりの氏(上野)