2017 年世界大会に出場した槇永優氏。大会の地メキシコでの経験を「メタ認知」や「マインドマップ」の活用とともに語った (写真は2017 年JAPAN FINALでのカクテルプレゼンテーション)
対応力求められた2017 年大会
キリン・ディアジオ㈱は、総合酒類メーカーであるディアジオplc が主催する世界最大規模のバーテンダーコンペティション「WORLD CLASS」の日本大会開催に向けたセミナーを東京会場としては1 月31 日、キリン日本橋ビルで開催した。「WORLD CLASS」は世界を舞台にバー文化を盛り上げていく趣旨で行なわれているもので、その日本代表を決定する大会は同社が主催している。大会は2009 年に始まり今年で10 回目を数え、過去に大竹学氏(パレスホテル東京)、金子道人氏(奈良、LAMP BAR)が世界チャンピオンの称号を勝ち取っている。この日は昨年の日本大会を勝ち抜き世界大会で活躍した槇永優氏(大阪、Bar LeighIsla)と「ケテルワン」ウオツカのグローバルブランドアンバサダーであり、バーテンダーおよびコンサルタントとして世界で活躍するパウロ・フィゲイレド氏による二部構成でのレクチャーが行なわれた。
「シグネチャー」「ヒートオブ ザ モーメント」「リソースフル バーテンダー(ミックス エコ)」「カクテルズ アット ホーム」「ラルチャ デ ロス ディアス」「ザ ファイナル」とグローバルトレンドを反映した6 ラウンドのチャレンジが行なわれた2017 年の世界大会。16 年のマイアミ世界大会ではほとんどのチャレンジで事前のレシピ提出が求められていたのが一変、現地で初めてルールを聞き、カクテルを創作するというものが増えたという。
「シグネチャー」では、バーテンダー自身の個性とバーの特徴の両方を表現し、日常的に提供できる実現性の高いカクテルが求められた。WORLDCLASS と言えば派手な創作が求められるものととらえられがちだが、カクテル自体はシンプルで、バーテンダーやバーのパーソナリティーが映し出されているかが重要だ。ここで槇永氏は、「メタ認知」や「マインドマップ」により自身を俯瞰し、アイデアを整理することでカクテル創作の概念を取り払うことへの注力を語った。
「ヒート オブ ザ モーメント」は、調理師が持つスキル、ノウハウを応用したカクテルへの新しいアプローチが求められた。槇永氏は昨年大会で、サイフォンを用いた即席のビターズづくりやキャラメリゼ、シェフの視点によるインフュージョンなどの講習を現地で受け、素材づくりや調合におけるより科学的で根拠のある技術、創造のアプローチの必要性を感じたという。例えばフレッシュジュースを作る際にはペストルが適切なのか、ブレンダーによるものが良いのか、またその場で搾汁するのが良いか、あらかじめ用意するのが良いのかなども柔軟な考えが持ち込まれていたようだ。
そして世界大会では「ミックス エコ」と称された「リソースフル バーテンダー」では、限られた資源の有効活用が求められた。すでにバーシーンでもサステイナビリティに関する取り組みがトレンドワードとなっている今日、カクテル創作や素材選び、活用における品質管理や安全性、シグネチャーカクテルにも日常的な環境意識が必要になってくるだろう。